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特集 消化管のEmergency—穿孔・破裂
いわゆる特発性破裂の病態と治療—特発性食道破裂;本邦報告200例の集計から
著者: 貴島政邑1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科
ページ範囲:P.335 - P.341
文献購入ページに移動 特発性食道破裂は,嘔吐の後等に下部食道を好発部位として発生する重篤な急性疾患である.発生はまれで,本邦では1934年以来200例が報告され,その集計の結果は次の如くである.
大多数が胸部あるいは上腹部の激しい疼痛をもつて,即時ないし数時間で発症し,多くは数時間以内で受診する.正しい診断は,嘔吐の後に疼痛という典型的な経過から,直ちに下されるか,あるいは胸水に気づき,その性状から導かれる.前者より後者の場合が多く,24時間以内正診率は50%に達しない.苦悶の要素は疼痛,肺虚脱および胸膜炎であり,対症療法ないし処置が急がれるが,中でも水気胸に対するドレナージが必要で,これを実施し,続いて外科的あるいは姑息的療法がとられる.治療成績は過去15年間は,両治療法とも70%以上の治癒率を達成している.しかし一定の大きさ以上の破裂創は姑息療法だけでは治癒しない.
大多数が胸部あるいは上腹部の激しい疼痛をもつて,即時ないし数時間で発症し,多くは数時間以内で受診する.正しい診断は,嘔吐の後に疼痛という典型的な経過から,直ちに下されるか,あるいは胸水に気づき,その性状から導かれる.前者より後者の場合が多く,24時間以内正診率は50%に達しない.苦悶の要素は疼痛,肺虚脱および胸膜炎であり,対症療法ないし処置が急がれるが,中でも水気胸に対するドレナージが必要で,これを実施し,続いて外科的あるいは姑息的療法がとられる.治療成績は過去15年間は,両治療法とも70%以上の治癒率を達成している.しかし一定の大きさ以上の破裂創は姑息療法だけでは治癒しない.
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