icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科42巻6号

1987年05月発行

特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール

食道癌治療のプロトコール—岩手医科大学第1外科

著者: 石田薫1 村上弘治1

所属機関: 1岩手医科大学第1外科

ページ範囲:P.741 - P.749

文献概要

はじめに
 食道癌の治療において早期発見,早期治療が遠隔成績の向上につながることはいうまでもないが,現状はいまだに進行癌を取り扱うことが多い.表1に1979年10月から1986年5月まで教室で経験した食道癌切除例の進行度別内訳を示したが,いずれの占居部位でもstageⅢ,Ⅳの進行癌が多く,全体の74.5%を占めている.しかも食道癌患者は他の消化器癌患者と比べ高齢者が多く各種臓器の機能的予備力が低下している症例がほとんどである.また食道癌は,食道が解剖学的に重要臓器と隣接しているため癌腫が進行すると容易にこれら臓器に浸潤するほか,頸部,胸部.腹部と3領域にまたがるリンパ行性転移や跳躍性転移を生じやすいという特徴がある.これら因子が重なつて食道癌治療を困難とさせているが,食道癌患者と接した場合,最初に要求されることは患者の全身状態と癌の進行度の正確な把握である.また治療に際しては現在 手術療法が第一選択であるが,術前後を通じての放射線療法,免疫化学療法,温熱療法などを組み合わせた癌の集学的治療を行うことが必要と考えている.本稿では,われわれの教室の食道癌治療の基本方針と,これまでの治療成績を述べて見たい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら