文献詳細
臨床研究
急性期脳損傷時の血中アルドステロン値の検討—血漿カリウム,レニン活性,ACTHの影響について
著者: 高橋英明1
所属機関: 1新潟県立小出病院脳神経外科
ページ範囲:P.1421 - P.1424
文献概要
脳挫傷などの頭部外傷や,クモ膜下出血,高血圧性脳内出血,脳梗塞といつた脳血管障害において,急性期に脳の損傷を定量的に把握することは診断や治療そして予後を判定する上できわめて重要であるが,頭部CTスキャンなどの形態学的情報やEEG, ABR, SEPといつた生理学的情報でとらえることは難しい.そこで脳の損傷の程度を代謝面からみようとする報告があり,CPKアイソザイム1)やアルドラーゼ2),下垂体ホルモン3),カテコラミン4,5)等枚挙にいとまがない程種々の物質が測定され,その臨床的意義が考察されている.既にわれわれは頭部外傷において意識障害の強い例では受傷後急性期にアルドステロン高値をとることを報告している6).また,脳血管障害においても意識障害の高度なものや,クモ膜下出血および高血圧性脳内出血の重症例でアルドステロン高値を呈することも認めている.そこで,急性期の脳損傷時における血中アルドステロン分泌上昇機序を確かめるため,脳神経外科疾患急性期患者の血中アルドステロン,レニン活性,血漿カリウムならびにACTHを測定した.
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