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文献詳細

雑誌文献

臨床外科43巻12号

1988年11月発行

文献概要

特集 Drug Delivery Systemを利用した癌治療

活性炭吸着抗癌剤

著者: 萩原明於1 高橋俊雄1 沢井清司1 岩本昭彦1 米山千尋1 近藤慎治1

所属機関: 1京都府立医科大学第1外科

ページ範囲:P.1749 - P.1754

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 活性炭吸着抗癌剤は,微粒子活性炭に多量の抗癌剤を吸着させた剤型である.本剤型は抗癌剤を一定の濃度に調節しながら放出する性質(濃度調節的成分徐放性)や,リンパ指向性と全身への薬剤成分移行の軽減,癌の腫瘤表面への付着性を持つ.マイトマイシンCを用いた腹膜播種性転移に対する体腔内投与では,毒性はマイトマイシンC水溶液の約1/5,局所的治療効果は3倍で,臨床的にもヒト癌性胸・腹水や,胃癌の腹膜播種の予防と治療に効果を認めた.リンパ節転移に対しては,ペプロマイシンやマイトマイシンCを吸着させて局所投与し,動物実験で水溶液抗癌剤に比較して有意に治療効果が増大した.臨床的には食道癌や胃癌に対して使用し,有効であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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