icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科43巻12号

1988年11月発行

Caseに学ぶ 一般外科医のための血管外科応用手技・18

術後感染による仮性肝動脈瘤破裂の処置

著者: 熱田友義1 伊藤紀之1 子野日政昭1 加藤紘之2 田辺達三2

所属機関: 1市立旭川病院外科 2北海道大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1781 - P.1784

文献概要

はじめに
 消化器手術後に発生する仮性肝動脈瘤の主な原因は膵液瘻と縫合不全・感染によるものと思われ,その破裂による大量出血の予後は極めて不良である.多くの膵液瘻は自然閉鎖するが,これに不適切なドレナージが加わると,時にこの重篤な合併症を惹起することがある.近年,膵頭十二指腸切除症例や胃癌手術時の膵合併切除症例の増加に伴い膵液瘻発生頻度も多くなり,さらに腹部臓器癌手術の際のリンパ節郭清に伴う血管外膜剥離による血管壁露出と感染により,仮性肝動脈瘤が増えているものと思われる.この出血に対し,最近とみに発達・普及の著しいinterventional angio-graphyによる出血部位,出血原因の早期確認,適切な動脈塞栓術で良好な成績を収めている施設も多くみられるようになった1).われわれは6例の感染に起因する仮性肝動脈瘤破裂を経験しているが,この動脈瘤は限局した部位にとどまらず,瘤状変化が速やかに広範囲に拡がる印象をうけている.したがって,肝動脈瘤切除,肝動脈結紮,適切なドレナージによる感染対策が必要な症例に遭遇することがある.最近,inter-ventional angiographyで出血をコントロールしたうえでこれらの手術操作を加え救命しえた2例を経験したので,そのポイントについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら