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文献詳細

雑誌文献

臨床外科43巻12号

1988年11月発行

文献概要

老医空談・3

外科医の鬼手

著者: 斉藤淏

所属機関:

ページ範囲:P.1788 - P.1789

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 鬼手とは囲碁将棋の奇抜な手のことだが,むごたらしい手術をする外科医を鬼と見立て,その手技を超人的と高く評価してこの字を当てたのでしょう.ヨーロッパの昔の外科は下賤の者のすることと見下げられていたのと異なり,日本の外科医者は古くから神仏の使者のように崇拝されていたのである.鬼手の字は仏心の二字とそろいで使われることが多い.私に贈られた色紙をみると,大僧正も名書家も,ペアで書いている.敬いと諭しの意味があると考えて大切にしております.
 外科医を名医扱いにした言葉にはほかに刀圭家と国手がある.前者は刀と薬匙からとった医術にかかわる古語だが,これはいただけます.後者は,医政や国政を論じ奔走している先生方に献上しておきたい.昔の外科医にも国手の名に相応しい名医はあったが,今日の外科は片手間でも立派にやり通せるとは絶対に考えられないから返上したい.しかし鬼の手はいただいておきましょう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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