特集 直腸癌の手術
骨盤内臓全摘術の手技と成績
著者:
沢田俊夫1
北條慶一1
森谷宜皓1
所属機関:
1国立がんセンター外科
ページ範囲:P.1913 - P.1922
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骨盤内臓全摘術とは,骨盤内臓器の進行癌で,かつ隣接臓器に進展したものに対して骨盤内諸臓器をen blocに合併切除し,治療成績を向上させようとするaggressiveな手術である.その完遂のためには内腸骨血管の合併切除が要求される.ここに著者らの最近の手術手技について述べ,著者らの行った骨盤内臓全摘術77例の成績を検討した.原発癌41例,再発癌36例で,原発癌の内訳はS 5例,Rs4例,Ra 10例,Rb 20例,P 2例であった.再発癌は局所30例,吻合部6例であった.原発癌33例(80.5%)と再発癌13例(36.1%)で治癒(根治)手術が行われた.合併症は創感染,骨盤死腔炎などの術後感染が最も多く(原発癌;20例48.8%,再発癌;10例27.8%),ついで尿瘻,尿管狭窄などの尿路系合併症(原発癌:7例16.3%,再発癌;7例19.4%)であった.入院(在院)死亡率は原発癌4.9%,再発癌27.8%であった.原発癌治癒切除32例の累積5年生存率は49.1%であり,原発癌非治癒7例,再発癌26例(再発癌根治:10例,再発癌非治癒:16例)に5生例はなかった.原発癌治癒Dukes C 11例の5生率は27.3%と不良であったが,Dukes B 21例の5生率は71.4%と良好であった.このDukes B 21例で他臓器浸潤(+)の11例と,(−)の10例の5生率はそれぞれ72.7%,70.0%で差はなかった.