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臨床研究
術後高カロリー輸液における血清アルカリフォスファターゼ値の検討—とくに輸液組成を中心として
著者: 奥野匡宥1 頼明信1 長山正義1 池原照幸1 梅山馨1
所属機関: 1大阪市立大学医学部第1外科
ページ範囲:P.521 - P.525
文献購入ページに移動高カロリー輸液(total parenteral nutrition,以下TPN)が普及するとともに,TPN施行に伴う肝機能検査上の異常,とくに胆汁うっ滞(TPN associatedcholestasis)が指摘されている1〜4).この合併症は,とくに小児や未熟児では胆汁うっ滞性の黄疸を呈する例が多く,なかには肝癌の発生もみられている5).一方成人では臨床検査上一過性の肝諸酵素値の異常が観察されるにとどまることが多く,しかも可逆性の変化であるとされている6〜9).しかし稀に胆汁うっ滞性の黄疸を示す例6,7)や非可逆性の肝障害に至る例8)もみられる.
この胆汁うっ滞の成因に関しては種々の検討にもかかわらずなお明らかでなく6〜9),予防および治療対策も明確ではない.
今回著者らは,同一疾患患者に対してほぼ同程度の手術を施行し,術後にTPNを行った症例を対象として,臨床検査上胆汁うっ滞の鋭敏な指標とされる4,10)血清アルカリフォスファターゼ値の変動と,各症例の術後TPN組成との関連について検討した.
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