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文献詳細

雑誌文献

臨床外科43巻6号

1988年05月発行

文献概要

特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96 胃・十二指腸

左腎・膵・脾脱転によるNo 9,No 16左上のリンパ節郭清

著者: 愛甲孝1 島津久明1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第1外科

ページ範囲:P.762 - P.764

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 近年,腹部大動脈周囲リンパ節が注目され,下部食道噴門部癌や進行胃癌に対して,重点的R4手術が一部の施設で行われる傾向にある.その理論的根拠としては,大動脈周囲の転移リンパ節を郭清することによって長期生存例が得られること,術前術後の管理技術が向上したこと,諸臓器を誘導するリンパ流に関する解明が進んだこと,などが挙げられる.我々はこれまで下部食道や胃上部のリンパ流に関し,左腎静脈近傍の大動脈周囲リンパ節群がterminal lymph nodesの1つであり重要であることを報告してきた.大動脈周囲リンパ節郭清に関しては,1)超音波検査にてVirchow転移を認めない症例で,大動脈周囲リンパ節転移が単発か,複数でも片側のもの,2)開腹所見にて他に非治癒因子がなく,大動脈周囲リンパ節に転移が肉眼的に疑われるもの,3)腹腔動脈周囲,総肝動脈幹周囲および脾動脈根部のリンパ節に転移が存在するもの,などを適応としてこの領域の郭清を行っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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