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文献詳細

雑誌文献

臨床外科43巻6号

1988年05月発行

文献概要

特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96 肛門部・その他

一次口不明の痔瘻手術

著者: 隅越幸男1

所属機関: 1社会保険中央総合病院

ページ範囲:P.966 - P.967

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 痔瘻の手術でもっとも基本的なことは,原発口および原発巣の除去である.再発例をみるとその90パーセント以上は,原発口の遺残である.したがって如何なるタイプの痔瘻でも,術前に瘻管の走行,タイプと原発口の確認を行うことが重要なことである.
 痔瘻の60パーセントを占める低位筋間痔瘻では,その原発口は後方に多いが,肛門のどの部分にも存在する.しかし高位筋間痔瘻の複雑型や坐骨直腸窩痔瘻では,そのほとんどが肛門の後方のクリプトである.それらは主として示指による触診,直腸診およびクリプトフックを用いることによって,術前におよそ見当がつくものである.しかし場合によっては,原発口がはっきりしないことがある.その場合でも瘻管の走行をみて,原発部位の想像はつくので,手術の際にはその近くのクリプトを切除し,掻爬すればまず間違いない.原発口を確認するために,二次口からメチレンブラウなどの色素剤を注入する必要はなく,指による触診がもっともよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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