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文献詳細

雑誌文献

臨床外科43巻6号

1988年05月発行

文献概要

特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96 肛門部・その他

痔核の結紮手術—肛門上皮およびクッション温存痔核根治術式

著者: 高野正博1

所属機関: 1大腸肛門病センター高野病院

ページ範囲:P.970 - P.972

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 痔核手術の目的は,痔核組織は除去するが,正常組織は可及的に残存させることにより,痔核の根治と共に形態および機能の保全をはかることである.現在普遍的に採用されている術式は,Milligan・Morganによって始められた結紮切除法である.この術式は,痔核を3ヵ所に分けて切除して根部を結紮し,あとの創は開放とし,肛門外にドレナージを形成するものである.この術式は,それまで行われていたWhitehead術式に比べ,はるかに生理的な術式である.ただしこの術式の欠点として,痔核組織を十分に切除すれば残存する肛門上皮が少なくなり,肛門上皮を残そうとすれば痔核が残存してしまう,という点がある.
 この欠点を改良するために私は,肛門上皮は可及的に温存するが,痔核組織は肛門上皮下にえぐり取り,残された肛門上皮を本来の解剖学的位置に復旧・固定する術式を工夫し,「可及的肛門上皮温存痔核根治術」と称して数多くの症例に応用してきた.ところがこの術式も,痔核組織と混在して存在する支持組織,あるいは軟部組織であるクッション(Thomson),またはTreitz靱帯を痔核組織と共に切除するという点では完全なものではない.
 以上のことから,最近はクッションおよびTreitz靱帯を肛門上皮と共に温存する「肛門上皮およびクッション温存痔核根治術式」を考案し,多くの症例で良好な成績を得ているので紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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