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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科43巻9号

1988年08月発行

雑誌目次

特集 消化器癌の相対非治癒切除

EDITORIAL

著者: 小山研二

ページ範囲:P.1285 - P.1286

 最近教室に来られたパラグアイからの留学生に,ここで一番学びたいことは何であるか,と聞いた.「日本では癌に対する系統的な手術を行っていて素晴しい.特に,規約に従ったリンパ節郭清を是非学びたい」という.「パラグアイでは手術に一定の規準がなく,リンパ節も転移のありそうなところだけを摘出するだけであるし,それも術者の好みによって変わる.日本のような,定められた手術操作を学びたい」ともいった.このように,日本の癌手術が高く評価されるのは大変うれしいことである.これはいうまでもなく各種の癌の取扱い規約があって,しかも殆んど全ての外科医がそれに従って治療しているからである.しかし,欧米の医師からは必ずしも全面的には賛成していない意見も聴かれる.かつて東京で行われた国際消化器外科学会(CICD)のさい,胆嚢癌に対する胆嚢床部肝部分切除を当然のごとく話したら,切除した肝に癌があったか否かを厳しく聞かれた.癌浸潤のなかったことを話したら,いかにも「不必要な手術操作をしたな」というジェスチャーをされた記憶がある.また,胃癌の手術のパネルディスカッションでも,転移のないリンパ節をなぜ郭清するのか,というやや非難めいた質問が出されていた.取扱い規約に従って全ての外科医が,個々の症例の差異などまるで考えないように画一的に,整然と一定の手術を行っていることに一種の違和感をもつのかもしれない.

胸部食道癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 磯野可一 ,   奥山和明

ページ範囲:P.1287 - P.1291

 根治度curabilityは,切除度resectabilityと進行度stageによって規定されているものである.食道癌では相対非治癒切除例は,stage ⅢとⅣの症例に該当している.
 今日のごとく,RⅢの手術が原則として施行される場合には,相対非治癒切除例は,術者の側で判断されるresectabilityによるものでなく,癌腫自体の遠隔リンパ節転移(n3,n4)によって左右されるものとなっている.
 そして,これらn3,n4(+)症例の遠隔成績は,拡大リンパ節郭清を施行したとしても,その予後は十分に期待できない.しかし,n3,n4(+)症例でもRⅡの郭清例よりRⅢの郭清例の方が3年までの生存率においては良好である傾向がうかがえる.

胸部食道癌のstage Ⅳ症例とその相対非治癒切除について

著者: 鶴丸昌彦 ,   秋山洋 ,   小野由雅 ,   渡辺五朗 ,   宇田川晴司 ,   鈴木正敏

ページ範囲:P.1293 - P.1297

はじめに
 胸部食道癌では,切除例の約70%にリンパ節転移がみられ,そのほとんどがn2,n3以上である(表1).すなわち,stage Ⅲ, stage Ⅳが約60%を占めている.このように食道癌では進行例が多く,根治切除ができたと思われても術後に再発がくることはしばしば経験するところである.
 相対非治癒切除とは,明らかな癌遺残はないが,かろうじて切除できたか,という切除である.もちろん,poor riskなどのため十分なリンパ節郭清ができなくて相対非治癒切除になることもあるが,すべての条件を加味して相対非治癒切除を論ずると,複雑になるので,本稿では,R3郭清が行われた症例での相対非治癒切除について論じてみたい.

胃癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 平塚正弘 ,   古河洋 ,   岩永剛 ,   今岡真義 ,   福田一郎 ,   石川治 ,   甲利幸 ,   佐々木洋 ,   小山博記

ページ範囲:P.1299 - P.1305

 24年間に手術された胃癌相対非治癒切除185例の原因別の頻度は,n>Rが65%,ow(+) oraw(+)16%,P(+)5%,H(+)4%,2因子例10%であった.n>Rの5生率は33%で,程度別にみると,n2>R165.8%,n3>R221.8%,n4>R222.2%,n4>R39.1%であった.第3群以上のリンパ節のうち,転移率の高かったのは,占居部位A・AMでは⑫,⑭,⑬,⑪,占居部位C・CMでは⑯,⑫であり,これらに転移陽性でも郭清により遠隔成績の良い症例があったので,重点的郭清の対象とすべきであると考えられた.P(+),H(+)の5生率はそれぞれ20%,14.3%と長期生存例があり,これらの非治癒因子がある症例についても合併切除の意義が考えられた.また,P0腹腔洗浄細胞診陽性例は現行の規約では非治癒因子にならないが,5生率は16.7%と不良でP(+)と差がなく,P(+)と同等に扱うべきであると考える.

胃癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 鈴木力 ,   武藤輝一 ,   佐々木公一 ,   田中乙雄 ,   宮下薫 ,   西巻正 ,   藍沢喜久雄 ,   若桑隆二 ,   津野吉裕 ,   曽我淳

ページ範囲:P.1307 - P.1315

 教室の胃癌相対非治癒切除例151例における非治癒因子別頻度はn>R81例,P(+)71例,断端(+) Ⅱ例,H(+)5例で,これらを非治癒因子の数でみると,単独因子例134例,2因子複合例17例であった.これら症例の累積5年生存率は21.3%であり,非治癒因子別では,P(+)単独例17.4%,断端(+)単独例85.7%,n>R単独例18.8%,2因子複合例9.9%であった.H(+)単独例では3年10ヵ月(生存中)が最長生存例であった.n(−),n1のP1単独例,ps(−)のn3>R単独例では比較的良好な予後が得られており,stageⅣ進行例に対しても,相対非治癒切除が可能な症例では,積極的な切除,郭清を行うことが予後改善に重要であると考えられた.また,これら臨床的事項に加え,胃癌の相対非治癒切除における,いくつかの問題点についても検討を行った.

肝癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 高山忠利 ,   幕内雅敏 ,   小西宗明 ,   北口浩 ,   上坂克彦 ,   彌政晋輔 ,   山崎晋 ,   長谷川博

ページ範囲:P.1317 - P.1324

 肝細胞癌に対する肝切除術根治度の臨床的意義を明らかにする目的で,肝硬変合併肝癌165切除例を対象に,とくに手術根治性の術後予後に与える影響を中心に解析した.
 術後累積生存率は,1年生存率90.0%,2年74.2%,3年57.1%,4年および5年28.6%であった.原発性肝癌取扱い規約に従えば,相対非治癒切除例数は全症例の68.5%にも達し,その最大の原因はTW,Hrの規定条件を満足できない点にあった.また,相対非治癒切除群(n=113)の予後は相対治癒切除群(n=31)に比しむしろ良好な傾向を示し,自験例では根治度と遠隔成績との関連に一部矛盾を生じた.以上の結果を踏まえ,肝癌の脈管侵襲特性を考慮したわれわれの根治度分類の暫定案を提示し,あわせて予後からみた肝癌根治手術のあり方について言及した.

肝細胞癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 横井一 ,   水本龍二

ページ範囲:P.1325 - P.1330

 肝細胞癌に対する肝切除では相対非治癒切除が全切除例中54.7%と最も多く,累積5年生存率は絶対治癒切除では100%と良好で,相対治癒切除でも50.0%であったのに対し,相対非治癒切除では6.1%と不良であった.相対非治癒切除となった理由はTW(+)のみによるA群22例(42.3%),Hr<HとなったB群20例(38.5%),Stage ⅣのC群10例(19.2%)に分けられた.B群の予後が最も良好で,B群では小肝癌に対する部分切除が圧倒的に多く,A,C群では高度に進展した大型肝癌が多く,門脈侵襲や肝内転移も高率に認められた.相対非治癒切除後3年以上生存例は7例で,うち5例はいずれも再発巣に対するTAEや再切除が有効な症例であった.

胆道癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 伊藤徹 ,   出月康夫 ,   小管智男 ,   柴山和夫 ,   若山達郎 ,   竹田泰 ,   島田和明 ,   下村一之 ,   登政和

ページ範囲:P.1333 - P.1339

 過去13年間の胆道癌症例の手術成績を検討し,相対非治癒切除の問題点につき考察した.胆嚢癌57例では治癒切除,非治癒切除の予後に明らかな差がみられた.しかしながら相対非治癒切除の4例中2例(stage Ⅲ)では,拡大胆摘術でhw1となったものの比較的長期の生存が得られた.胆嚢癌では可及的に癌腫を切除する相対非治癒切除の意義が認められた.これに対して胆管癌48例では治癒切除,非治癒切除の予後に差が認められなかった.相対非治癒切除は2例のみであった.今回の自験例の検討では,胆道癌取扱い規約との関連より,絶対治癒切除に分類した症例の中に相対非治癒切除症例が含まれていた可能性があり,今後の問題点と考えられた.

胆道癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 角田司 ,   冨岡勉 ,   土屋涼一

ページ範囲:P.1341 - P.1346

 過去18年間に当科で経験した胆道癌切除139例の中における相対非治癒例の検討を行った.胆嚢癌では61例中16例,胆管癌では78例中15例が相対非治癒となっていた.いずれも剥離面近くにおける腫瘍細胞の有無により相対非治癒となる例が多かった.相対非治癒切除例の再発形式ではいずれも局所再発が主体であった.相対非治癒と判定する場合,取扱い規約に基づいて病理学的診断を下すが,規約上の問題点や,規約上判定が難しい症例があり,これらの判定に基づく相対非治癒切除の位置づけが難しいものと思われた.また相対非治癒に関する報告は少なく今後検討すべき課題と考えられた.

膵癌の相対非治癒切除—膵周囲切離,剥離面(ew)からみた検討

著者: 今泉俊秀 ,   羽生富士夫 ,   吉川達也 ,   中迫利明 ,   松山秀樹 ,   長谷川正治

ページ範囲:P.1349 - P.1356

 膵癌の相対非治癒切除について検討した.「膵癌取扱い規約」に準じew(−)をew0(膵周囲切離,剥離面より5mm以内に癌浸潤が認められないもの)と,ew1(膵周囲切離,剥離面より5mm以内に浸潤が認められるが,切離,剥離面への浸潤の認められないもの)とに分けて,病理組織学的進展様式,再発様式,予後から検討した.ew1は病理組織学的にはew(+)に近い病像を呈し,再発様式でも後腹膜再発が61%と多くew(+)と類似性を示したことから,癌遺残のhigh risk factorと考えられた.予後ではew0とew(+)との中間に位置した.したがって膵癌の相対非治癒切除を規定するならば,ew1が妥当と考えられた.今後,拡大手術によって可及的に治癒切除を追求し,さらに症例の集積をまって検討すべきであろう.

膵癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 石田常之 ,   山本正博 ,   大柳治正 ,   斎藤洋一

ページ範囲:P.1357 - P.1364

 膵癌は消化器癌の中でも最も予後の不良な癌の一つである.その切除率は膵頭部癌で20から40%,膵体尾部癌で20%台とされ,治癒切除率も膵頭部癌で約20%にすぎない.本稿の主題である相対非治癒切除という概念は,膵癌では1985年の取扱い規約の改訂で初めて取り上げられたものであり,したがって,全国集計でも1986年度症例に45例をみるだけである.これらを検討した結果,相対非治癒切除となる膵癌は,T2またはT3の癌でTP,PDのR2の郭清が行われているにもかかわらず,V2またはV3によって相対非治癒と判定されている症例が多いものと推察された.

大腸癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 高橋利通 ,   大木繁男 ,   西山潔 ,   土屋周二

ページ範囲:P.1365 - P.1368

 大腸癌の相対非治癒切除例について述べた.その頻度は大腸癌手術症例の4.3%,非治癒切除例の17.3%を占めていた.肝転移の合併切除により相対非治癒切除となった症例は14例でこれらにのみ成績の有意な上昇が認められたが,腹膜播種性転移合併切除17例,R<nによる相対非治癒切除9例,および腹膜播種とR<nの2因子の合併切除を行った2例では,絶対非治癒切除例に比し成績の上昇は認められなかった.初回手術時の肺転移合併切除例は1例のみであったが,3年3ヵ月後の現在,再発を認めていない.

大腸癌の相対非治癒切除—成績とその問題点

著者: 進藤勝久 ,   安富正幸 ,   八田昌樹 ,   森川栄司 ,   久保隆一 ,   肥田仁一 ,   松田泰次 ,   和田富雄 ,   相良憲幸

ページ範囲:P.1369 - P.1374

 大腸癌の相対非治癒切除は,リンパ節郭清が転移の程度より低い(R<n)ためにおこるものが最も多く60%を占め,次いで肝,肺転移の合併切除(16%),腹膜播種の合併切除(16%),遠隔リンパ節転移n4(+)の8%である.R<nは取扱い規約上の問題であり,そのために治癒切除が相対非治癒となったものである.その他のものは合併切除により絶対非治癒が相対非治癒となったものである.教室で扱った大腸癌手術と全国調査報告とからこれらの頻度や生存率について検討した.R<nとなった原因には腫瘍縁から切除断端までの距離(AW, OW)が規定の長さに達していないことが多く,これらでは相対非治癒であるにもかかわらず,高い生存率を示した.そこで,リンパ節クリアリング法で腸軸方向,中枢方向,側方向のリンパ節転移率を調べ,規約のリンパ節分類の再評価を行った.その結果,現行の取扱い規約のリンパ節分類では大腸癌の現実と合わない部分があった.大腸癌研究会でも新リンパ節分類案が提案され,これに基づいた手術効果程度別生存率や転移率が検討されることになろう.
 血行転移である肝転移および肺転移も,切除により相対非治癒となったものでは,遠隔成績は向上している.積極的な癌巣切除をできるだけ広範囲に行うことが予後向上につながると思われる.

カラーグラフ Practice of Endoscopy 胆道内視鏡シリーズ・Ⅺ

経皮経肝的胆管鏡(その4)—悪性胆道疾患の診断と治療:症例を中心に

著者: 山川達郎 ,   平井淳

ページ範囲:P.1279 - P.1282

 悪性胆道疾患の多くは閉塞性黄疸を発症してから診断,治療を受けることが一般的である.したがって,減黄処置が手術の可否にかかわりなく必要となるが,その手段は経皮経肝的胆管ドレナージ(PTBD)または内視鏡的乳頭切開術に引き続き施行される内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)に大別される.今回は経皮経肝的胆管ドレナージと,その応用手技である経皮経肝的胆管鏡による悪性胆道疾患の診断と治療について述べる.

表紙の心・8

医学アカデミー館のヒポクラテス像

著者: 大村敏郎

ページ範囲:P.1315 - P.1315

 聖コーム(St.Côme)が医療信仰の中核になったり,外科医の守護聖人になったりした長い歴史の後に,その影がうすれてきたのは人々の考え方や社会の体制に変動が起きてきたからである.来年が200年記念に当るフランス革命も大きな変革の1つである.サン・コーム教会もこの時に破壊された.
 革命で途絶えた医学部と外科医学校は1795年に健康学校(Ecole de Santé)として,内科医外科医の区別なく同じ教育をうける機関として発足した.建物は外科学校の施設が使われ,1808年には医学部という名にもどった.

Caseに学ぶ 一般外科医のための血管外科応用手技・15

四肢軟部悪性腫瘍広範合併切除術—患肢温存手術

著者: 安田慶秀 ,   田辺達三 ,   俣野順 ,   明神一宏

ページ範囲:P.1375 - P.1380

はじめに
 最近における血管外科の進歩,発展とその普及に伴い,一般腫瘍外科の領域にも積極的に血管外科の応用がなされてきている.これに伴い従来は根治手術の適応外とされていた主要血管への浸潤を有する症例に対しても,腫瘍とともに広範な合併切除と血行再建を行うことによって根治性をはかるとともに,残存臓器の機能温存をはかる試みが行われるようになってきている.本稿では四肢軟部悪性腫瘍に対し血管外科の技術を応用し,患肢温存をはかった2症例について報告する.

イラストレイテッドセミナー 一般外科手術手技のポイント

Lesson15 イレウス

著者: 小越章平

ページ範囲:P.1381 - P.1385

 腸閉塞の外科的解除は,その原因により多様である。

老医空談・1【新連載】

これからの外科学会

著者: 斉藤淏

ページ範囲:P.1386 - P.1387

 この春の第88回日本外科学会の学術集会では,表記の討論会が催され,興感を覚えたのはこの老医ばかりではなかろう.討論会の前に,その間に,その後にと分けて,考えたことを記してみた.

外科医の工夫

胆道鏡下截石時の大結石除去困難例に対する一工夫

著者: 田中正喜 ,   六田暉朗 ,   高谷信行 ,   湯浅亮一 ,   南本智史 ,   井上権治 ,   門田康正

ページ範囲:P.1389 - P.1391

はじめに
 胆道鏡下にバスケットカテーテルを使用することによって胆内結石などの術後遺残結石の截石は比較的容易に行われるようになった.しかし,時に大きな結石ではバスケット鉗子に結石を把持したものの除去困難な症例に遭遇する.今回,著者らはこうした1症例に1つの新しい手技を採用し,機械的砕石を比較的容易に行い得たので報告する.

臨床研究

Pendred症候群5例の報告と病態についての検討

著者: 小松誠 ,   久米田茂喜 ,   岩浅武彦 ,   井之川孝一 ,   堀利雄 ,   牧内正夫 ,   重松秀一 ,   菅谷昭 ,   飯田太 ,   宮川信

ページ範囲:P.1393 - P.1397

はじめに
 Pendred症候群は,1896年Pendredによる家族性甲状腺腫と先天性聾を合併した姉妹例の報告に始まる.1960年Trotterは,聾と甲状腺腫を伴う疾患を①Deaf-mutism in relation to endemic cretinismand goitre②Sporadic goitre with deaf-mutism③Deafness with adult myxoedema の3型に分け,②をPendred症候群と規定した.一方1965年Fraser3)が①perchlorate discharge test陽性(またはロダンカリ放出試験),②家族性甲状腺腫,③先天性感音性難聴の3徴候を有する疾患をPendred症候群と提唱した.
 われわれは最近,Fraserが提唱したPendred症候群(狭義のPendred症候群)に該当する症例を1例経験したので,これを報告し,さらに以前に経験した類似疾患,すなわちTrotterの規定した,広義のPen-dred症候群の4症例を加えて,本症候群の臨床像を検討する.

臨床報告

胃十二指腸動脈瘤の1治験例

著者: 呑村孝之 ,   北口浩 ,   鈴木強 ,   増田裕久 ,   石原浩 ,   松浦雄一郎

ページ範囲:P.1399 - P.1401

はじめに
 胃十二指腸動脈瘤は稀な疾患であり,Stanleyら1)の2,000例以上に及ぶ内臓動脈瘤の文献上の集計ではその約1.5%にすぎない,われわれが文献的に調べ得た範囲でも本邦報告例2〜4)は6例であった.
 今回,われわれは腹部腫瘤を主訴とした胃十二指腸動脈瘤症例に対し外科的治療を行い満足すべき結果を得たので,文献的考察を加え報告する.

血中副腎ホルモンの上昇がみられた成人後腹膜奇形腫の1例

著者: 大下裕夫 ,   田中千凱 ,   伊藤隆夫 ,   加地秀樹

ページ範囲:P.1405 - P.1408

はじめに
 後腹膜奇形腫は比較的まれな腫瘍で小児期に好発することが知られているが,成人例はきわめてまれである1).著者らは上腹部痛をきたし,血中コルチゾール,アルドステロン,レニン活性などの上昇を伴った成人後腹膜奇形腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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