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特集 膵臓の外科—up to date
慢性膵炎における術式の選択—膵全摘術
著者: 西原謙二1 鈴木敞1
所属機関: 1山口大学医学部第2外科
ページ範囲:P.41 - P.46
文献購入ページに移動 慢性膵炎に対する膵全摘術について,自験症例を呈示するとともに,主に欧米の文献を参考にして,その1)適応,2)死亡率,3)合併症,4)除痛効果,5)長期予後,6)就業率と社会的適応,7)新たな工夫,などについて検討を加えた.その結果,膵全摘術は1)様々な試みにもかかわらず除痛に失敗した症例に対し最終的な手段として行われることが多いこと,2)直接死亡率は低いが,遠隔死亡は少なくないこと,3)感染症,縫合不全などの合併症もかなりあること,4)鎮痛剤からの完全な離脱は困難であること,5)長期予後を決定する最も重要な因子は,禁酒の実行を含め患者自身の自己管理能力にあること,6)完全な社会生活に復することは困難であり,社会的適応を厳密にする必要があること,7)幽門・十二指腸温存術式,自家膵移植などが新たに試みられていることなどがわかった.
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