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文献詳細

雑誌文献

臨床外科44巻10号

1989年09月発行

文献概要

特集 鼎談 術中トラブルの予防と対策 食道手術

動脈損傷の防止法

著者: 森昌造1 鶴丸昌彦2 武藤輝一3

所属機関: 1東北大学第2外科 2虎の門病院外科 3新潟大学第1外科

ページ範囲:P.1319 - P.1321

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大動脈を傷つけないための注意
 武藤 次に胸部大動脈ですが,これは気管と並んで重要な臓器です.動脈への浸潤をみていく時に,術前の検査所見である程度わかりますが,もし一所懸命とろうとして,あるいは剥離しようとして動脈を損傷することがあるかどうか.あった場合にどうすればいいか,鶴丸先生,いかがでしょうか.
 鶴丸 私たちのところではまだ経験がありません.しかし,合併切除の可能性は常に頭に入れてやっております.気管と同じように剥離層をある程度外膜のところで鈍的に剥離していきますと,大動脈の壁が非常に白く光って剥がれる層があります.そこで,できるだけ鈍的に指で少しずつ感じをみながらいくのですが,もし大出血が起こった場合には,とにかくまず指で押さえて,コントロールする.そして出血部を指で押えながら周りを攻めていって,姑息的になっても腫瘍をとりあえず除去して,その後に出血を止めることに専念したいと思っています.もし,それで他の因子が問題なくて,大動脈はそこの部分切除だけですめば,周りの肋間動脈を外して,大動脈をフリーにして,partialclampをかけてパッチを当てるということまでは準備をしてやっております.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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