icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科44巻10号

1989年09月発行

文献概要

特集 鼎談 術中トラブルの予防と対策 血管手術

血栓内膜摘除のときのトラブル

著者: 田辺達三1 多田祐輔2 松本昭彦3

所属機関: 1北海道大学第2外科 2東京大学第2外科 3横浜市立大学第1外科

ページ範囲:P.1542 - P.1548

文献購入ページに移動
内膜摘除が思わず遮断鉗子のところまでいってしまったとき
 松本 血栓内膜摘除術は最近は以前ほど汎用されませんが,症例によっては非常に有利かつ確実な方法ですし,また場合によっては是非ともやらなければならないことがあります.そこでたとえば,大腿深動脈を血栓内膜摘除して,パッチ・グラフトをおき血流を増やしつつ,末梢血行再建をやる場合です.病変が限局していれば,ここまでで血栓内膜摘除は終わりという判断ができますが,心の中でそう思いつつも思わず遮断鉗子のかかっているところまでいってしまうことがありますね.そうすると,内膜の固定はできないし,そのまま放っておくわけにもいかない.また,動脈がかなりひどい時には切り離しただけで,何ら固定しなくても済むこともある.その辺の判断はいかがでしょうか.
 多田 血栓内膜摘除は,限局した病変に対しては術前にどこからどこまでと決めてやるべきです.たとえば腸骨動脈の場合,この部分までと決めていた範囲でその中枢側,末梢側端を鋭的に血栓内膜を離断して血栓内膜摘除をし,末梢側を内膜固定すればいいのです.実際にやってみますと,遮断した状態でみますから不十分なような気がして,先生がいわれたようにズルズルと行ってしまいがちですが,予め範囲を決めて,これ以上は行わないという決意が必要と思います.もしそれ以上必要とする状況なら,それはむしろバイパスの適応なんです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?