文献詳細
臨床報告
胃癌手術で発見されたウェステルマン肺吸虫腹腔内異所寄生の1例
著者: 鈴山博司1 咲田雅一1 間島進1 竹村周平2 松本喜志夫34
所属機関: 1明治鍼灸大学外科 2京都府立医科大学第1内科 3松本脳神経外科 4松本脳神経内科
ページ範囲:P.391 - P.394
文献概要
肺吸虫は動物の肺に寄生する吸虫で,25種の吸虫が発見されている.そのうち本邦においてヒトに寄生するのは5種の肺吸虫で,特にParagonimus wester-mani (以下ウェステルマン肺吸虫)とParagonimusmiyazaki(以下宮崎肺吸虫)がよく知られている.このウェステルマン肺吸虫の成虫は,終宿主の肺に虫嚢を形成し棲息しているが,虫卵が経口的に摂取され,幼虫が肺に到達するまでに,途中の臓器や皮下・脳に迷入する異所寄生が知られている.本邦では大谷1)がはじめて異所寄生を報告しているが,中枢神経以外の異所寄生は稀で,特に最近の環境衛生向上により肺吸虫の発生が減少しており,1976年以降の本邦におけるウェステルマン肺吸虫の中枢神経以外の異所寄生の報告は数例にすぎない2).今回,肺には全く異常を認めず,胃癌手術で偶然発見されたウェステルマン肺吸虫の腹腔内異所寄生例を経験したので報告する.
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