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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科44巻5号

1989年05月発行

雑誌目次

特集 外科臨床における病態別栄養

EDITORIAL

著者: 武藤輝一

ページ範囲:P.589 - P.590

 第二次世界大戦後,敗戦国であった日本では国民の栄養は著しく低下し,このような状態の中で手術を行うためには,まず栄養状態の改善をはかることが必須であった.これまで経腸的あるいは非経腸的栄養補給の研究と臨床が外科領域で最も積極的に行われた理由はこの辺にある.まず経口栄養に近い経管栄養法が,やがてカゼイン水解物から結晶アミノ酸混合物を中心とした末梢経静脈栄養へ,さらにDudrickらによる経中心静脈高カロリー輸液が開発された.また高カロリー輸液の開発に前後して低残渣栄養剤や成分栄養剤による高カロリー経腸栄養が可能となった.
 このように栄養法に著しい改善と進歩がみられる一方で,昔は考えられなかったような大きな手術も可能となり,その手術を容易とするためには術前の種々の病態に応じた栄養補給が必要であり,また術後における臓器欠損の種類,程度や術後の病態の変化に応じての栄養補給が必要となって来た.

術前・術後の栄養管理

著者: 真島吉也 ,   田代亜彦 ,   山森秀夫 ,   林田和也 ,   西沢正彦 ,   奥井勝二

ページ範囲:P.591 - P.596

 高カロリー輸液の出現以来,腹部手術前後において経腸栄養を含めた栄養管理面に飛躍的進歩がみられている.これらの栄養法を臨床応用するにあたりエネルギーとアミノ酸(AA)の至適投与量やその効果を知ることは大切なことである。熱代謝と窒素平衡を用いた検討では, 1)非侵襲下の栄養良好例では30kcal/kg,AA1g/kg, 2)栄養不良例では45kcal/kg,AA1.5-2.0g/kg, 3)中等度手術侵襲後では30-40kcal/kg,AA1.5g/kg, 4)50kcal/kg,AA2.0g/kgが一応の投与目標とされる.外科的侵襲下では高濃度分岐鎖アミノ酸製剤を用いると,より良い体蛋白節約作用が得られる.

周手術期肝不全の栄養管理

著者: 木内哲也 ,   嶌原康行 ,   森敬一郎 ,   小林展章 ,   山岡義生 ,   小澤和恵

ページ範囲:P.597 - P.605

 肝障害をもつ症例の術後や肝切除術後には,肝の代謝予備力が低下し,肝不全へと移行する危険性が高く,的確な代謝・栄養管理には肝ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝の状態を把握することが重要である.具体的には,動脈血中ケトン体比(KBR)が0.7以下の症例では,低濃度glucoseによるhypoalimentationにより内因性脂肪酸の動員を促し,分枝鎖アミノ酸の投与も血中クリアランスに注意しつつ慎重に行うべきである.一部の症例では,間歇的糖負荷によってKBRが再上昇し,glucose利用能が回復するが,KBRが0.4以下となった場合には,肝の基質利用能は著しく低下し,保存的代謝管理では回復を得られないことが多い.

腎不全の栄養管理

著者: 寺岡慧 ,   河合達郎 ,   林武利 ,   藤田省吾 ,   唐仁原全 ,   中島一郎 ,   中川芳彦 ,   藤川博康 ,   本田宏 ,   渕之上昌平 ,   太田和夫

ページ範囲:P.607 - P.616

 腎不全における栄養障害については,蛋白・アミノ酸代謝異常をはじめとした種々の代謝異常が関与していると考えられ,その栄養管理に際しては特別の配慮が必要とされる.腎不全の栄養療法として「尿素の再利用」という仮説に基づいた必須アミノ酸療法が登場し,この概念はさらに腎不全患者の高カロリー輸液にも導入されたが,これには高アンモニア血症,意識障害,さらには脂肪肝などの発生が問題となっている。腎不全の栄養管理については,アミノ酸投与量,その至適組成など,多くの点で再検討を要すると考えられる。

糖尿病合併および膵全摘後の栄養管理

著者: 西松信一 ,   大柳治正 ,   宇佐美真 ,   植田智樹 ,   斎藤洋一

ページ範囲:P.617 - P.624

 膵全摘後を含めて外科領域の耐糖能低下時には,創傷治癒と全身状態の回復,維持のため,大量のエネルギー投与を必要とすることが多い.したがって,病態生理をよく把握し,十分なエネルギーを投与しながら,インスリンコントロールすべきである.糖尿病患者の術前術後栄養としては,高濃度グルコースと必要量のインスリン,それにアミノ酸投与で管理可能ではあるが,GFX(Glucose:Fructose:Xylitol=4:2:1),BCAA richなアミノ酸,脂肪乳剤の併用が有効である.膵全摘後の輸液栄養管理は安定した血糖値の維持と,十分な栄養投与による手術侵襲からの回復促進,創傷治癒促進である.膵全摘術後経過は術後早期,移行期,維持安定期の3期に分けられ,血糖変動の最も激しい術後早期は,人工膵島による血糖コントロールが有効であった.

熱傷の栄養管理

著者: 長谷部正晴 ,   鈴木宏昌 ,   森栄五 ,   小林国男

ページ範囲:P.625 - P.631

 重症熱傷では著しい代謝の亢進と体蛋白異化がみられる反面,代謝基質に対する利用能は大きく障害されている.著者らは,代謝・栄養管理上最も重要なことは①利用能を大幅に上回る過量投与を避けること,②このような状況においても効率よく代謝される基質を投与すること,の2点と考え検討を重ねてきた.その結果,①種々の制約はあるものの,間接熱量測定法によりおおよその利用能を推測することが可能であること,②十分量の分岐鎖アミノ酸と脂肪が効率よく代謝される可能性があること,が確認された.この2点を中心に,臨床上の諸問題とその対策について述べた.

重症感染およびMOFの栄養管理

著者: 篠沢洋太郎 ,   相川直樹 ,   安藤暢敏 ,   小山恭正 ,   阿部令彦

ページ範囲:P.633 - P.640

 重症感染症における栄養管理は,エネルギーの補充,生体構成蛋白・抗炎症蛋白などの合成のため必須である.必要投与カロリーは基礎代謝量の1.4〜1.6倍で,グルコース投与が主体となるが,耐糖能障害,肺機能障害のある場合には脂肪製剤の投与が有用となる.本症では分枝鎖アミノ酸がエネルギーとしてより多く利用され血中濃度も他のアミノ酸に比べ低下する.分枝鎖アミノ酸に富むアミノ酸製剤1.5〜2.0g/kg・dayの投与は筋蛋白異化抑制に関しては明らかでない面もあるが,窒素バランス,蛋白合成には有用である.MOFの障害臓器のうち代謝の中心である肝の機能低下は代謝動態の破綻・予後の増悪に関与するため,有効な肝機能補助が待望されている.

短腸症候群の栄養管理

著者: 畠山勝義 ,   山寺陽一 ,   岡本春彦 ,   武藤輝一

ページ範囲:P.645 - P.652

 小腸広範切除後に生じる短腸症候群は吸収面積が絶対的に減少するための消化吸収障害を主体とする症候群である.その術後の臨床経過はⅢ期に分類されており,それぞれの病期の病態生理に対応した栄養管理が必要となる.残存小腸が短い程,消化吸収障害が大きく,また残存小腸の適応にも期間を要し,症状として現われないまでも潜在的栄養障害状態が存在している.術後長期栄養管理には在宅栄養法が広く用いられるようになっている.一方,広切後の残存小腸の適応のメカニズムとしては,管腔内の栄養素,消化管ホルモン,胆汁や膵液などが動物実験で想定されてはいるが,いまだ十分には解明されていない.

炎症性腸疾患の栄養管理

著者: 馬場正三 ,   青木克憲 ,   水谷謙二

ページ範囲:P.653 - P.659

 栄養療法は経静脈栄養と経腸栄養があるが,炎症性腸疾患の場合,長期にわたる栄養管理が必要な症例があり,本稿では主にCrohn病の栄養管理,特に経腸栄養についてその有用性と問題点を述べた.炎症性腸疾患の低栄養状態を来す要因を潰瘍性大腸炎,Crohn病について病態より考察し,栄養療法の位置づけを述べた.各種栄養剤の特徴を分析し実施の際の留意点をあげ,必須脂肪酸欠乏症や微量元素欠乏の予防法について記述した.自験例を中心に瘻孔,成長障害,狭窄,穿孔,短腸症候群,硬化性胆管炎などの合併症に対する成分栄養療法について述べた.

癌患者とアミノ酸インバランス

著者: 日置紘士郎 ,   平松義文 ,   畑埜武彦 ,   山本政勝

ページ範囲:P.661 - P.667

 アミノ酸インバランス療法—特にアルギニン添加によるインバランスに関する現在までの知見を概括し,そのメカニズムについて考察を加えた.アルギニンインバランスの腫瘍増殖抑制作用は,尿素回路促進に伴う核酸de novo合成系の競合的阻害,産生された尿素自体による抗腫瘍効果,ホルモン環境の変化による二次的な作用,cyclic AMPを介する抗腫瘍効果,および免疫機能の賦活化といったmultifactorialなものである可能性が推測される.

心不全の栄養管理

著者: 曽田益弘 ,   宮崎医津博 ,   梶谷伸顕 ,   吉實憲 ,   寺本滋

ページ範囲:P.669 - P.675

 心臓は全身にエネルギー産生に必要な酸素のみならず栄養物を供給し,老廃物を除去する.この機能の低下する心不全ではしばしば栄養低下がみられる.その著しいものは,cardiac cachexia(CC)と呼ばれる.CCの病態は解明されていないが,組織の低酸素症をベースに消化管浮腫による食欲不振,吸収障害が原因である.CCの手術成績は悪く,栄養面のサポートが期待されるが現在では満足すべき成績は得られていない.心不全の栄養評価としては,身体計測,免疫能が有用である.低栄養患者に対しては,心不全用経口食が与えられるが,不十分な場合は,経口補助食,経腸栄養を行い,経口摂取不能の時は高カロリー輸液を導入する.

小児外科における栄養管理

著者: 加藤哲夫 ,   蛇口達造 ,   小山研二

ページ範囲:P.677 - P.683

 小児外科領域で特に成人とは代謝の異なる新生児・乳児の栄養管理について,静脈栄養,経腸栄養に分け概説した.静脈栄養のカテーテル管理はほぼ確立したと考えるが,投与内容の質,量については微量元素やビタミンのみならず三大栄養素でさえ結論がでていないのが現状である.経腸栄養についても同様のことが言えるが,本来の生理的経路を用いるため合併症は遙かに少ない.成人との最大の相違点は,小児故の成長発育と臓器および代謝の未熟性であり,これらを配慮した栄養管理が要求される.静脈栄養では正常の成長発育は期待し難く,また長期に及ぶと致命的な代謝障害や感染症を免れない.静脈栄養適応の厳選はもちろんのこと,静脈栄養を施行する場合には常に経腸栄養へ移行すべく努力が肝要と考える.

カラーグラフ Practice of Endoscopy 食道内視鏡シリーズ・Ⅷ

内視鏡超音波検査—ラジアル式(その2)

著者: 村田洋子 ,   井手博子 ,   鈴木茂

ページ範囲:P.584 - P.586

正常食道壁
 EUSにて正常食道壁は,高エコーと低エコー層が交互に重なり5層に観察される.この5層のEUS像の各々が,食道の組織標本のどの部分に当たるかをみるため,切除標本にゼラチンを注入し組織と対比したところ,第3層高エコー層は粘膜下層(sm)に,また第4層低エコー層は固有筋層(mp)に相当していた1).さらに,in vitroで正常食道壁を生検鉗子にて表皮のみを生検(生検組織で確認)し,この標本を水槽内で7.5MHzのプローブで観察すると,第1層が消失していた(図1).このことより,第1層は境界エコーを含む粘膜上皮に相当すると考えられた.また,第1層の下に薄くやや淡い層が観察されることもあり,これが粘膜筋板(mm)を含む粘膜固有層(1pm)と考えられた.

表紙の心・17

医療とかかわりの多い聖ルイ王の像

著者: 大村敏郎

ページ範囲:P.640 - P.640

 初めて外科医組合結成を呼びかけたジャン・ピタール(Jean Pitard, 1228〜1315)が仕えたのはフランス王ルイ9世(Louis Ⅸ,1212〜1270)であった.最後の十字軍を組織したことでも知られるように敬虔なキリスト教徒で,死後聖人として聖ルイ王(Saint Louis)と呼ばれるようになり,後世のフランス人達に尊敬され親しまれてきた.
 アメリカの開発に努力したフランス人は時の国王ルイ14世(Louis ⅩⅣ, 1638〜1715)の名に因んで中部アメリカをルイジアナと名づけ,その首都をセント・ルイスと呼んだのであった.

研修医セミナー 一般外科手術記録の書き方

Lesson7 胃切除術(Partial Gastrectomy)—良性疾患

著者: 小越章平

ページ範囲:P.685 - P.689

Ⅰ.記載のポイント
 1.麻酔(以前は腰椎麻酔で行った時代もあったが,現在は全麻)。 2.皮膚切開(これも例外なく上腹部正中切開)。 3.腹部所見,主病巣所見(出血,穿孔,狭窄部位)。 4.胃切除,再建方法。 5.閉腹,ドレーンの有無。 6.結び。

老医空談・9

生き甲斐とQOL

著者: 斉藤淏

ページ範囲:P.690 - P.691

 越中小原節—三千世界の松の木ァ枯れても あんたと添わなきゃ,娑婆へ出た甲斐がない—日本五大民謡の一節,その起源は元禄時代という.私は10歳ぐらいの頃,盆踊の輪に加わって調子を合わせていた.もちろん,娑婆も甲斐も全くわかっていなかった.その後,わかったと言えるような機会は医学生の時にあった.左大腿部の腫瘍摘出のあとで肉腫と告知された時である.自作の切片によって確実に悪性が否定された時の感動,生命のひらめきと言うか,生き甲斐と言うか,その瞬間に生涯を貫く棒のようなものが打ち込まれたのです.今日までの臨床医生活の心棒になっていると思っている.
 今日の医療は激変した,この時にあたかも新顔のように,生き甲斐と並んでQOLの字がしばしば眼にとまるようになった.これらの言葉の前置詞のように,全人的治療(看護)が据えられている.

文献抄録

神経芽細胞腫に対する大量の化学療法および放射線療法と骨髄移植による地固め療法—1歳以上のステージIV症例の任意抽出群

著者: 松藤凡

ページ範囲:P.692 - P.692

 神経芽細胞腫は5歳以下の小児の悪性腫瘍のうち最も多くみられるものの1つである.小児腫瘍学のめざましい進歩にもかかわらず,神経芽細胞腫ステージⅣ症例の死亡率は90%に達している.しかし,最近mel-phalam大量投与後自己骨髄移植(ABMT)を行い良好な結果が得られたとの報告がいくつかある.これらの中には化学療法に抵抗性の症例や長期生存例がみられる.Philadelphiaのグループは再発例に全身照射(TBI)およびmelphalam大量投与と骨髄移植(BMT)を行うことで36%の1年生存率を得ている.他の報告では1歳以上の神経芽細胞腫ステージIVでcomplete response(CR)またはpartial response(PR)の得られた症例に早期の地固め療法として強力な化学療法とABMTを行い良好な結果が得られている.1983年より1歳以上の神経芽細胞腫ステージⅣの症例56例が強力な化学療法,TBIおよびBMTのプロトコールに沿って治療された.導入療法としてcisplatinumおよびVM−26とcyclophosphamideおよびAdriamycinとを交互に投与するプロトコールが用いられた.2〜4ヵ月後に手術が行われ,診断より12ヵ月以内に地固め療法として強力な化学放射線療法とBMTが行われた.すなわち,vincristineとmel-phalanに加えてTBIを行つた後BMTが施行された.

一般外科医のための形成外科手技・5

熱傷の初期治療

著者: 梁井皎

ページ範囲:P.693 - P.699

はじめに
 熱傷と一口に言ってもその程度によって軽症のものから重症のものまであってその幅は広い.熱傷患者外来初診時の診察,治療法の選択にあたって把握すべきは,患者の年齢,全身状態,受傷時期,受傷原因,熱傷深度,受傷面積などであるが,それらを総合的に判断して全身療法と局所療法を併せて行う必要がある.全身療法にしても局所療法にしても初期の治療(受傷後2週間位)が最も大切であり,初期の治療の良し悪しで治療結果に大きな差が出てくる.熱傷後に瘢痕拘縮などの高度の変形を残して形成外科外来を訪れる患者の中には不適切な初期治療が原因と思われる症例も少なくない.
 熱傷患者の診察,治療にあたってまず大切なのは全身状態の把握と重症度の判定であるが,あまりにも全身状態が悪かったり熱傷受傷面積の広い重症の患者では救急処置の後,重症熱傷患者の管理治療に慣れた専門の施設に転送することが望ましい.
 本稿では,まず熱傷患者の重症度の判定法について述べ,次に一般的な全身療法,受傷程度に対応した局所療法について述べる.

臨床研究

用手的胃十二指腸動脈圧迫法による肝動脈塞栓術

著者: 久保田仁 ,   川村陽一

ページ範囲:P.701 - P.703

はじめに
 肝動脈塞栓術(以下TAE)1)は肝腫瘍の治療や外傷性肝損傷に対する止血法として放射線科医のみならず外科医によっても施行される機会が多い.TAEを施行する場合,膵炎や十二指腸壊死などの合併症を予防するためには,カテーテル先端は少なくとも胃十二指腸動脈分岐部より末梢側に挿入する必要がある.しかしながら,肝動脈分岐形態により固有肝動脈への挿管が困難な症例を経験することがある.そのような症例に対して,体表より用手的に胃十二指腸動脈を圧迫して,一時的に胃十二指腸動脈の血流を遮断して,総肝動脈より肝動脈塞栓術(以下本法)を行うことを試みた.

臨床報告

レーザー血管形成術が有効であった閉塞性動脈硬化症多発病変の1例

著者: 長田一仁 ,   河内賢二 ,   山口寛 ,   石川幹夫 ,   石丸新 ,   古川欽一

ページ範囲:P.705 - P.708

はじめに
 心臓血管領域におけるレーザー治療の応用は,他の分野に比して遅れた感があるが,最近ようやく臨床応用の段階に達しつつある.とくに,動脈硬化性病変に対するレーザーの効果については少数ながら報告がみられるようになってきており,今後その応用拡大が期待される.
 われわれは,多発性動脈硬化性閉塞の患者に対し,Y型人工血管によるバイパス術と同時に,その末梢側閉塞性病変に対し,接触型メタルホットチップカテーテルを使用したアルゴンレーザー血管形成術を施行し,良好な結果を得たので,文献的考察を加え報告する.

石灰化脾動脈瘤を伴った脾血管腫の1例

著者: 町田浩道 ,   中谷雄三 ,   小島幸次朗 ,   井垣弘康 ,   小林寛 ,   臼田多佳夫

ページ範囲:P.709 - P.713

はじめに
 脾の腫瘍性病変は稀で,Krumbhaarによれば剖検例の全腫瘍中の0.64%にすぎない.脾血管腫は無症状のため,従来は剖検時に偶然発見される場合が多かったが,各種の画像診断の発達により治療対象になる症例の報告が増加してきた.われわれも,石灰化脾動脈瘤を伴った脾血管腫の1切除例を経験したので報告する.

膵漿液性嚢胞腺腫を合併したいわゆる胃外発育性胃癌の1例

著者: 安井章裕 ,   二村雄次 ,   早川直和 ,   神谷順一 ,   中山隆 ,   塩野谷恵彦

ページ範囲:P.715 - P.719

はじめに
 膵の稀な腫瘍である膵漿液性嚢胞腺腫と比較的稀な胃外発育性胃癌の合併例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.前者の特徴的な血管造影像,CT像は他の膵腫瘍との鑑別診断上重要である.

子宮広間膜裂孔ヘルニア(Pouch type)による絞扼性イレウスの1例

著者: 鈴山博司 ,   咲田雅一 ,   間島進 ,   松本喜志夫 ,   竹村周平

ページ範囲:P.721 - P.724

はじめに
 内ヘルニアは比較的稀な疾患で,その中でも子宮広間膜裂孔ヘルニアは少なく,本邦においては,1970年に柳沢1)が初めて報告して以来,現在までに10例が報告されているにすぎない,われわれは,胆石の手術既往があり,術前癒着イレウスと診断された子宮広間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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