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文献詳細

雑誌文献

臨床外科44巻5号

1989年05月発行

老医空談・9

生き甲斐とQOL

著者: 斉藤淏

ページ範囲:P.690 - P.691

文献概要

 越中小原節—三千世界の松の木ァ枯れても あんたと添わなきゃ,娑婆へ出た甲斐がない—日本五大民謡の一節,その起源は元禄時代という.私は10歳ぐらいの頃,盆踊の輪に加わって調子を合わせていた.もちろん,娑婆も甲斐も全くわかっていなかった.その後,わかったと言えるような機会は医学生の時にあった.左大腿部の腫瘍摘出のあとで肉腫と告知された時である.自作の切片によって確実に悪性が否定された時の感動,生命のひらめきと言うか,生き甲斐と言うか,その瞬間に生涯を貫く棒のようなものが打ち込まれたのです.今日までの臨床医生活の心棒になっていると思っている.
 今日の医療は激変した,この時にあたかも新顔のように,生き甲斐と並んでQOLの字がしばしば眼にとまるようになった.これらの言葉の前置詞のように,全人的治療(看護)が据えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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