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文献詳細

雑誌文献

臨床外科44巻6号

1989年06月発行

文献概要

特集 胃癌治療の最近の話題

胃癌肝転移の切除および動注療法の効果

著者: 北村正次1 荒井邦佳1 吉川時弘1 神前五郎1

所属機関: 1東京都立駒込病院外科

ページ範囲:P.797 - P.804

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 胃癌1,880例のうち手術時肝転移が認められたⅢ例(5.9%)を対象として,肝切除および動注療法の成績とその意義について検討した.
 肝切除はH18例,H21例の計9例に行われたが,2年以上の生存例を認めなかった.再発形式は6例が肝再発であり,H1といえども転移巣は潜在的に多発性であることを示しており,術中エコーによる小病巣探査が重要と考えられた.胃切除・動注(+)群の予後は胃切除・動注(−)群よりやや良好であった.また胃非切除・動注(+)群の予後は胃非切除・動注(−)群より有意に良好であった(P<0.01).したがって胃癌肝転移の治療法としては,胃原発巣には根治的切除を可及的に行い,特にH1に対しては肝切除を行い,同時に肝動脈にカテーテルを挿入しAngiotensin IIあるいはDSM等を併用するなど,効果増強を目的とした投与方法の工夫が必要と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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