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特集 食道癌の手術
文献概要
頸部食道癌は,解剖学的位置関係からみて隣接臓器に浸潤しやすいが,これらの臓器の大半は,容易に合併切除が可能である.また,頸部食道癌のリンパ節転移形式をみると,胸部食道癌と異なって頸部にとどまっているものが多く,われわれの検索では胸部および腹部リンパ節の転移率はそれぞれ11%と3%で,胸部に転移を認めたリンパ節は,胸部上部傍食道リンパ節であった.このように頸部食道癌の切除郭清術は胸部食道癌に比べると比較的容易で,術後の遠隔生存率も良好である.しかし,食道癌特有の性質を有していることには変わりはなく,癌多発や粘膜内浸潤,壁内転移などを24%前後に認めている.これらの点を考慮し,われわれが行っている頸部食道癌の標準的切除郭清術について紹介した.
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