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文献詳細

雑誌文献

臨床外科44巻8号

1989年08月発行

文献概要

特集 臓器生検の適応と手技

上部消化管の生検—食道・胃・十二指腸

著者: 平塚正弘1 古河洋1 岩永剛1 今岡真義1 福田一郎1 石川治1 甲利幸1 佐々木洋1 亀山雅男1 大東弘明1 柴田高1 小山博記1

所属機関: 1大阪府立成人病センター外科

ページ範囲:P.1045 - P.1051

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 上部消化管の生検の主な目的は,主病巣および副病巣が癌であるか否かの決定である.したがって,術前の内視鏡検査時に食道癌にはルゴール染色法,胃癌にはCongo red-methylene blue testなどを施行し,まず病巣の見逃しを防がねばならない.また術中には,残胃となる部の胃粘膜擦過細胞診や切除胃断端迅速組織診を行い,癌の遺残を防止しなければならない.腹腔洗浄細胞診では,肉眼的に腹膜播種の認められないP0でもS2の14%,S3の15%において下腹腔に遊離癌細胞が認められた.P0,S(+),根治手術例のうち,洗浄細胞診陰性例の5生率は31.7%であったが,陽性例は0%でほとんどが2年以内に死亡した.補助療法の適応を決めるためにも,進行胃癌では腹腔洗浄細胞診を行わねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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