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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科44巻9号

1989年09月発行

雑誌目次

特集 がん放射線療法の現況と進歩

EDITORIAL

著者: 阿部光幸

ページ範囲:P.1147 - P.1148

はじめに
 放射線治療は超高圧放射線治療時代に入ってから,がん治療に根治的な意義を有するようになり,外科手術と並んでがんの局所療法としての地位を確立してきた.しかし,この超高圧放射線治療も約40年の歴史を経て,その限界もまた明らかになってきた.今日,放射線治療の抱える最大の問題点は次の二つに集約されよう.第一は,放射線の物理的線量分布の局在性の悪さである.すなわち,放射線感受性の高い重要臓器が病巣の近傍に存在する場合,外照射では十分な腫瘍破壊線量を安全に照射することができないことである.第二は,通常使われている放射線では制御し難い放射線抵抗性のがんが存在することである.たとえば悪性黒色腫,骨肉腫,あるいは低酸素性がん細胞などである.これらの問題点,すなわち放射線の線量分布の改善と,生物効果の増強という課題に対してどのような研究が行われ,また如何なる進歩がもたらされたかについて概説する.

甲状腺癌の放射線療法

著者: 遠藤啓吾

ページ範囲:P.1149 - P.1156

 甲状腺癌の大部分を占める乳頭癌,濾胞癌は肺,骨に転移しやすい.甲状腺のヨード摂取能を利用したヨード(1)−131によるアイソトープ(RI)治療は,甲状腺癌の肺,骨転移に対する最も有効な治療法である.甲状腺全摘後,ヨード(1)−131を3.7〜5.6GBq(100〜150mCi)投与すると,転移病巣はヨード(1)−131を取り込み,ヨード(1)−131の放出するベータ(β)線による放射線作用により,甲状腺癌の肺,骨転移を特異的に治療することができる.しかし,40%の症例では肺,骨転移病巣がヨード(1)−131を取り込まないため,本法の適応とはならず,予後も不良である.
 ヨード(1)−131によるR1治療は繰り返して治療できる上,重篤な副作用はほとんどない.本法は腫瘍特異的な治療法として,これからの癌治療の良いモデルと思われる.

乳癌の放射線療法

著者: 橋本省三

ページ範囲:P.1157 - P.1162

 乳癌手術の最近の傾向は,定型乳切から縮小手術,あるいは乳房の温存手術という,20年近くに及ぶ欧米の比較対照臨床成績を参照して,ようやく患者の望むquality of lifeに応えるようになった.これとともに,乳癌術後照射は無益として忘れられていたところ,また息を吹き返した.自験例をもとに,温存手術と放射線治療を中心に,骨転移の対症治療としての照射を含めて,最近の乳癌の放射線療法を略述した.なお,第49回乳癌研究会の記事(シンポジウム,および特別講演)が「乳癌の臨床」に近く掲載される.併せてごらん頂ければ幸いである.

食道癌の放射線療法

著者: 飯塚紀文

ページ範囲:P.1163 - P.1167

 食道癌に対する放射線治療の現況と将来の展望について述べた.外科手術との併用として術前照射が過去20年ほど最も多く行われて来たが,われわれの研究で術後照射の方が生存率が高いので,今後はこちらが主流になるであろう.事実多くの施設で術前照射は行われなくなっている.術後照射は確かに生存の延長につながるであろうが,高齢者とくに肺気腫のある症例では照射法に工夫が必要であろう.一方,Leichmanの外科手術なしの放射線と化学療法の併用による食道癌の治療法の成績は非常に興味のあるものである.現在わが国ではこのような報告はみられないが,検討する時期に来たように思える.

胃悪性腫瘍の放射線療法

著者: 小堀鷗一郎

ページ範囲:P.1169 - P.1173

 胃癌に対する放射線治療に関しては,単独治療,術中照射,術後補助療法それぞれについて一定の成果が報告されているが,特に術後の補助化学療法と組み合わせることによって進行胃癌の予後の改善に寄与しうると考えられる.胃悪性リンパ腫については,特に術後の再発の防止にその有効性が認められてはいるものの,各施設の報告例が限られていて,最終的な結論を得るには至っていない.いずれにせよ,胃悪性腫瘍の放射線治療は胃という臓器の機能,解剖学的位置における特殊性を十分に考慮して,綿密な治療計画に基づいて行われるべきである.

胆道癌に対する放射線療法

著者: 吉川達也 ,   羽生富士夫 ,   中村光司 ,   吾妻司 ,   小川佳子 ,   竹田秀一 ,   平野宏

ページ範囲:P.1175 - P.1182

 胆道癌に対する放射線療法の効果について切除例,非切除例に分け検討を加えた.非切除照射例は胆管癌57例,胆嚢癌32例であり,照射総線量が45Gy以上のものに著効・有効例が多く,非照射例と比較し有意差をもって遠隔成績の向上を認めた.切除照射例は胆管癌19例,胆嚢癌5例(重複例1例を含む)であり,照射時期は術前4例,術中7例,術後4例,再発時8例であった.術前照射例では組織学的効果は認めるものの,切除照射例の遠隔成績の向上を得ることができなかった.切除例に対する放射線療法には照射時期,至適線量,術後合併症との関わり合いなど問題点も多く,局所制御効果が得られていないのが現状である.今後更に症例を重ね検討していきたい.

膵癌の放射線療法

著者: 真辺忠夫 ,   馬場信雄 ,   芝本雄太 ,   高橋正治 ,   戸部隆吉

ページ範囲:P.1183 - P.1187

 進行膵癌に対する放射線療法は術中照射としてベータトロン30Gy,外照射としてライナック60〜70Gy,合計90〜100Gyの照射を行っており,局所に限局した癌では切除例,非切除例を問わず,放射線併用例では予後の改善がみられている.放射線治療による除痛効果,腫瘍縮小効果は明らかに認められ,quality of lifeの点からも期待のもてる治療法である.ただ,進行膵癌の場合は局所は放射線によりコントロールされても遠隔再発が多く,手術時すでに組織学的遠隔転移の可能性が示唆されるため,今後は化学療法などを併用したより強力な集学治療が必要である.

大腸癌の放射線療法

著者: 木村幸三郎 ,   小柳泰久 ,   谷千秋 ,   中島厚 ,   加藤孝一郎 ,   永楽仁

ページ範囲:P.1189 - P.1194

 大腸癌,特に直腸癌の治療成績向上の目的で,手術合併療法として集学的治療が広く試みられている.なかでも,局所制御の目的での放射線療法はその主たる地位を占めている.本稿では,手術合併療法としての放射線療法について,術前照射では自験例の結果を踏まえて論述し,また術中・術後照射ではその有効性を考察し,さらに放射線療法の今後の課題について細胞学的考察を加えた.本稿での論述をもとに直腸癌に対する放射線療法がより普及され,より良い効果が生ずることを望むものである.

カラーグラフ Practice of Endoscopy 食道内視鏡シリーズ・Ⅻ

食道拡張法

著者: 嶋尾仁 ,   比企能樹

ページ範囲:P.1141 - P.1143

食道狭窄の原因
 良性食道狭窄としては,最も多いものとして術後吻合部狭窄があげられる.その他に比較的稀ではあるが,酸,アルカリの誤嚥あるいは自殺企画での服用による腐食性食道炎,逆流性食道炎,Barrett潰瘍,Plummer-Vinson症候群によるwebs,放射線治療後,カンジダなどの感染,薬剤や経鼻胃管,内視鏡検査時の損傷,進行性全身性硬化症(PSS)などによるものがある.
 悪性疾患では食道癌が最も多い.その他には稀であるが肉腫があげられる.周囲からの圧排による狭窄では咽頭喉頭の悪性腫瘍,また胃癌など他臓器からの食道周囲リンパ節転移による狭窄がある.

研修医セミナー 一般外科手術記録の書き方

Lesson9 食道切除術・3

著者: 小越章平

ページ範囲:P.1195 - P.1199

Ⅱ.記載に関する術語ならびに例文(つづき)
F.頸部操作(cervical procedure)
 1.リンパ節郭清 頸部操作のために横H型(工字型)切開を行った。
  The double trifurcate(double T-shaped, Gluck's)incision was made for the cervicalprocedure.
 内頸静脈切除を行わないmodified radical neck dissectionを施行した。  The modified radical neck dissection was performed without the division of the internaljugular vein.

老医空談・12

病床の白日夢

著者: 斉藤淏

ページ範囲:P.1200 - P.1201

 私は,この春,1週間の入院生活をした.昨年末,1回の尿閉を機会に検査を受け,その後は排尿の度にその画像が眼にうつるので,摘除を考えたのでした.ところが,元教室医達の強いすすめによって,予定手術の前日に退院してしまったのです."老いては子に従え"の美徳を守ったのだったが,本誌の特集号「消化器良性疾患の手術適応」(44巻4号1989年)の記事に影響されたのかも知れない.
 入院した病院は,私と50余年ものかかわりが続いているし,殆んど全職員とは顔見知りであるから,最新最高の待遇を受けたのであって文句のあろう筈はない.

文献抄録

上肢深部静脈血栓症は見直されるべきである

著者: 新見正則

ページ範囲:P.1202 - P.1202

 上肢の深部静脈血栓症は過去に比べてより一般的なものとなってきている.上肢はその解剖学的特徴により静水圧が低く,血栓の原因となる弁が少なく,安静にされる機会が少なく,血流が早く,内皮細胞の線溶作用が増加していることなどにより深部静脈血栓症は比較的少ないと説明されていた.しかしながら,鎖骨下静脈にカニュレーションする機会が増加している今日では血栓形成の頻度も増加している.今回,著者らはAkron General Medical Centerにて1980年より1986年までの6年間に経験した深部静脈血栓症804例について調べた,そのうち上肢に生じたものは33例で約4%であった.患者は20歳より87歳で平均年齢は53歳で,男性が45%であった.診断は23例が静脈造影によって,各1例がCT scanとDoppler scanによって,他の8例は臨床症状より下された.33例の原因はカテーテルによるものが13例,過剰運動が2例,解剖学的異常が2例,悪性腫瘍が8例,心不全が1例,凝固異常が2例,外傷が2例,特発性が2例であった.カテーテルが原因の13例のうち6例は悪性腫瘍を伴っていた.カテーテルは多孔性で径の太いものを長期間留置した例に多く発生していた.上肢の深部静脈血栓症のうち12%に肺梗塞の合併が換気血流シンチで確認された.それによる死亡例は著者らの施設ではない.

一般外科医のための形成外科手技・9

局所皮弁と幾何学的皮弁

著者: 梁井皎

ページ範囲:P.1207 - P.1214

はじめに
 軟部組織腫瘍切除後などに生じた皮膚欠損に対する修復法としては,まず,縫縮が可能な場合には縫縮術を行い,皮膚欠損が大きくて直接縫縮が困難な場合には,前回および前々回の本連載にあるように,各種の植皮手術が適応となる.
 局所皮弁というのは,その名が示す通り,皮膚欠損部の周辺局所に作成される皮弁で,原理的には伸展皮弁,横転皮弁,回転皮弁などがあり,実際に使われる場合には,幾何学的に比較的複雑で慎重に作図を行う必要のあるものが多い.
 皮膚欠損部を補うにあたって,局所皮弁による手術,局所皮弁以外の有茎皮弁による手術,遊離植皮による手術,マイクロサージャリーを利用した手術などのうちのいずれの方法を選択するかは,個々の症例によって臨機応変に決められるが,本稿では,一般外科医の日常手術の中で役立つであろうと思われる局所皮弁および幾何学的皮弁について,その概要を述べ,代表的な症例を供覧する.

臨床研究

カテーテル敗血症の新しい診断法—Isolator systemの有用性について

著者: 寺島秀夫 ,   阿保七三郎 ,   松岡富男

ページ範囲:P.1215 - P.1218

はじめに
 高カロリー輸液(以下,IVH)の調整および輸液ラインの管理はほぼ確立されたものとなった.しかし,未だカテーテル敗血症は完全に予防し得ず,その診断方法・診断基準は確立されたものとは言い難い,従来よりカテーテル敗血症の診断は,カテーテル先端培養法により行われてきた.われわれの施設(平鹿総合病院外科)での1987年度の検討では,カテーテル敗血症疑いで抜去されたカテーテルのうち,実に64%のカテーテルがそれ自体に感染がないにもかかわらず不必要に抜去されていたことが判明した.そこでわれわれは,1987年にMoscaら1)によりその有用性が報告されたlysis centrifugation blood culture system(以下isolator systemと呼ぶ)を1988年8月より導入し,カテーテル敗血症の診断・治療を試みた.この新しい方法であるisolator systemは,従来の方法とは異なり,カテーテルを抜去することなく,迅速に培養結果が得られ,中心静脈血(CVC)と末梢静脈血(PER)のcolony数を比較することによって,より定量的にカテーテル敗血症の診断ができる方法である.今回,isolator systemを用いて,カテーテル敗血症が疑われた症例群に対して,以下のごとく詳細な検討を行ったので報告する.

小児甲状腺癌7例の検討—成人例との比較

著者: 武田裕 ,   高屋潔 ,   佐々木崇 ,   井口淳子 ,   八重柏都 ,   森洋子 ,   里見進 ,   田口喜雄 ,   森昌造

ページ範囲:P.1219 - P.1222

はじめに
 近年,小児甲状腺疾患に対する意識,診断技術の進歩に伴って15歳以下のいわゆる小児甲状腺癌の報告が増えつつあるが,甲状腺癌全体に占める割合は1〜5%と少ない.当科では今までに7例の小児甲状腺癌を経験したので,成人例と比較し若干の文献的考察を加え報告する.

臨床報告

食道未分化癌の3例

著者: 今村博 ,   馬場政道 ,   田辺元 ,   吉中平次 ,   福元俊孝 ,   島津久明 ,   清水誠一郎 ,   佐藤栄一 ,   吉田愛知

ページ範囲:P.1223 - P.1228

はじめに
 食道に原発する悪性腫瘍の大多数は扁平上皮癌であり,未分化癌の占める頻度はごく低率である.しかし,この組織型の食道癌は悪性度が高く,早期に遠隔転移を起こしやすい特徴をもち,また有効な治療法も確立されていないため,その予後は一般にきわめて不良である.これまでに著者らは,このような食道未分化癌の3症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

感染性心内膜炎の治療中に発見された上腸間膜動脈瘤の1治験例

著者: 近江三喜男 ,   菊地安徳 ,   伊藤淳 ,   大内将弘 ,   三田正紀

ページ範囲:P.1229 - P.1233

はじめに
 上腸間膜動脈領域の動脈瘤の本邦における報告は近年増加している.われわれの集計では,腸管壁内微小動脈瘤,腹腔動脈と支配領域を共有する膵十二指腸動脈瘤および腹部手術や外傷に伴うものを除くと,本報告例を含め35例である.感染性心内膜炎(IE)に伴うものは有名であるが,動脈硬化,中膜異常や原因不明のものも多く,破裂による出血に対し緊急手術が行われるものも少なくない.血管病変の正確な診断には血管造影が必須であるが,最近では超音波やcomputedtomography(CT)などの診断法の著しい進歩に伴い,腹部血管病変の診断も非観血的に行われる機会が増している.われわれは,IEの治療中に発症し,超音波,CTおよび血管造影で診断された上腸間膜動脈瘤の1例を経験したので報告し,さらに本邦での報告例を集計し,診断法と手術術式について検討を行う.

DICを合併した腹部大動脈瘤の治療経験

著者: 中島公博 ,   安田慶秀 ,   松居喜郎 ,   合田俊宏 ,   佐久間まこと ,   田辺達三

ページ範囲:P.1235 - P.1238

はじめに
 DIC(disseminated intravascular coagulation)の原因として種々の疾患が考えられているが,その中でも大動脈瘤によるものは稀である.最近,われわれは瘤内壁在血栓が原因と思われるDICを合併した腹部大動脈瘤の手術症例を2例経験した.1例は,呼吸機能低下,腎機能低下などの合併症をもっていたにもかかわらず,術後にDICの改善,全身状態の改善をみた.しかし,他の1例は術前からの腎不全が術後改善傾向を示さず,MOF(multiple organ failure)にて失った.
 今回,この2症例を呈示するとともに,病因ならびに治療について考察する.

気腫性胆嚢炎の1例

著者: 竹本正幸 ,   細谷亮 ,   服部泰章 ,   武田敏夫 ,   尾野徹雄 ,   岩坪泰治 ,   田端義久

ページ範囲:P.1239 - P.1242

はじめに
 気腫性胆嚢炎はガス産生菌感染による比較的稀な急性胆嚢炎であるが,画像診断上特異な像を示し,同時に壊疽性胆嚢炎の所見を呈する場合が多く,外科治療上も興味深い疾患である.著者らは最近,その1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

外傷性腎動脈血栓症の1例

著者: 仁科雅良 ,   藤井千穂 ,   奥野雅史 ,   広川満良 ,   曾根淳史 ,   稲田洋

ページ範囲:P.1243 - P.1248

 外傷性腎動脈血栓症は,極めて稀な疾患である.今回われわれは脾破裂を伴った本症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

直腸良性リンパ濾胞性ポリープの1例

著者: 伴登宏行 ,   林裕之 ,   岩瀬孝明 ,   松井一裕 ,   北川正信

ページ範囲:P.1249 - P.1252

はじめに
 良性リンパ濾胞性ポリープはリンパ濾胞の増生とそれを被う通常の大腸粘膜よりなるとされ,直腸に好発する.欧米では多数報告されているが,本邦ではまだ少ない.著者らは最近検診で発見された直腸の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

術前診断しえた閉鎖孔ヘルニアの1例—特に超音波検査の有用性について

著者: 山田和彦 ,   生駒茂 ,   渡辺和礼 ,   吉嶺巡

ページ範囲:P.1253 - P.1255

はじめに
 閉鎖孔ヘルニアは比較的稀で,かつ術前診断が困難な疾患とされている.しかし,近年本症の診断にCT(computed tomography)検査やイレウス管よりの選択的造影が有用であることが明らかにされ,術前に確診された本症の報告がみられるようになってきている1〜9).最近われわれは嵌頓性閉鎖孔ヘルニアを経験し,超音波検査,CT検査,イレウス管よりの選択的造影の三者を行い,それぞれの検査により本症と確診しうる所見が得られた.特に,超音波検査が閉鎖孔ヘルニアの診断に有用であることを報告した文献は,われわれが検索した範囲内ではみられず,これが最初の報告と思われる.

下血を伴うKlippel-Trenaunay-Weber症候群の1例

著者: 林載鳳 ,   金広啓一 ,   末田泰二郎 ,   浜中喜晴 ,   石原浩 ,   松浦雄一郎 ,   高倉範尚

ページ範囲:P.1257 - P.1261

はじめに
 Klippel-Trenaunay-Weber(以下KTW)症候群は,四肢の肥大,母斑,静脈瘤を主徴とする疾患である.従来,その特徴的体表奇形が主に論じられ,腸管病変に言及した報告は少ない.今回われわれは,下血を伴うKTW症候群の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

表紙の心・21

—リヨンのオテル・ディユ病院にある—フランソア・ラブレーのレリーフ

著者: 大村敏郎

ページ範囲:P.1233 - P.1233

 モンペリエの医学を語る時に欠くことのできない人物はフランソア・ラブレー(Francois Rabelais, 1494〜1553)である.
 ルネサンス時代を代表する文豪であり,フランス語で小説を書くようになった初期の一人である.文学の方で知られすぎて,医師としての活動は蔭がうすくなっている.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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