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文献詳細

雑誌文献

臨床外科45巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から バセドウ病

コメント

著者: 藤本吉秀1

所属機関: 1東京女子医科大学内分泌外科

ページ範囲:P.1564 - P.1566

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バセドウ病は甲状腺専門医に治療を受ける のが望ましい疾患である
 コメントの冒頭にこのような標題を掲げるのはよくないことかもしれないが,内分泌学会や甲状腺の学会で,甲状腺の専門医と自他ともに許す第一人者が皆そう広言してはばからないのだから,そう言ってもよいのだろうと思う.
 その理由は,①やはり専門医が治療すると,内科的治療であろうと外科的治療であろうと,あるいは131I療法であろうと,経験の多くない医師に比べ成績に格段の差がつく.②どんな治療法をとるにしても,一旦治ったようにみえても何時また再発してくるかわからない.菅谷先生ら,和泉先生らがともに記されているように,バセドウ病は今日自己免疫疾患の一種と考えられ,しばしばその体質は遺伝するほど頑固なものである.③薬物療法で一旦治ったようにみえた患者の中から,何年か経て甲状腺機能低下症を起こしてくるものがある.外科治療や131I療法後には,機能低下を起こすものが決して少なくない.そうしたことを前提として行われる治療法であるともいえる.甲状腺機能の異常は,若年婦人では妊娠に関係して重大な問題であり,それ以外の人でも決して放置してよいことではないので,結局一旦治療を引き受けた以上は一生その患者とつき合うくらいの覚悟が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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