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文献詳細

雑誌文献

臨床外科45巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から 乳癌

コメント

著者: 阿部令彦1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1587 - P.1588

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 乳癌の保存的治療とは,conservative therapy forbreast cancerを意味する.その目的は,乳房を温存し,かつmodified radical mastectomyと同様の治療成績をあげることにある.また,この目的を達成するための具体的目標として,原発病巣周辺を含めてこれを切除するが,乳頭・乳房の大部分を温存する術式および腋窩リンパ節に対する郭清またはサンプリングを行うか,あるいは照射療法を行うなど腋窩リンパ節に対する処置が行われる.このような原発腫瘍と腋窩リンパ節に対する外科的治療法は,breast preservingmethodと呼ばれる治療法に包括される.元来,癌に対する手術を縮小させて,生存率,健存率を向上させることは不可能に近いが,これらの術後成績を低下させることなく手術を縮小することが可能であるならば,それに越したことはない.手術という外科療法発展の歴史を眺めれば明らかなように,患者の安全性,疾患の根治性,手術後遺症の軽減一機能の回復・温存の順に達成目標は進展してきたのである.特に近年ではneedに応じて発展してきた社会における技術革新が,それ自体独り歩きをし,社会環境,経済に重大な影響を及ぼすようになり,生存の科学が注目され,人間の尊重が改めて問われるようになった.このような風潮のなかで医療においても患者のQOLが重視される時代を迎えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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