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特集 腹部血管病変の診療
虚血性大腸炎
著者: 高橋忠雄1 山城守也1
所属機関: 1東京都老人医療センター外科
ページ範囲:P.575 - P.579
文献購入ページに移動 虚血性大腸炎は,可逆性の虚血に基づく急性大腸炎と考えられている.しかしながら,この可逆性の虚血を病態生理学的に実証するのはかなりの困難を伴う.実験的に臨床例と酷似した所見を作り出すことはできるが,病因論的には多少隔たった感は否めない.結局,実験的・臨床的所見を総合して考察すると,虚血性大腸炎の成立には,必ずしも大血管の閉塞は必要条件ではなく,何らかの原因による腸管血流の低還流状態に加えて,腸管内圧上昇・壁伸展などの腸管側因子による壁内血流のautoregula-tionが失われた結果,大腸炎症状を表わすのかも知れない.臨床的に治療方針を示唆できるものであればclinical entityとして役立つものと考えられる.
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