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特集 転移性肝癌の治療
肺癌肝転移の治療
著者: 川村雅文1 石原恒夫1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科
ページ範囲:P.687 - P.691
文献購入ページに移動 原発性肺癌術後に肝硬変の所見のあった16例と,剖検で肝転移を認めた26例について検討した.臨床例16例の肝臓以外の再発臓器は,小細胞癌では脳転移が5例全例に,非小細胞癌では脳転移36%,副腎転移55%などであり,肝転移単独だったのは非小細胞癌の1例のみであった.剖検例でも副腎65%,骨62%,腎50%,膵35%など,肝転移と同時に他の諸臓器に転移が認められた.治療としては小細胞癌では全身的な化学療法が5例中3例に行われ,1例でPRが得られた.肝動注あるいは肝動脈塞栓術を施行したのは3例であり,全身的な化学療法と併用した小細胞癌の1例と,肝臓のみに転移を認めた非小細胞癌の1例で腫瘍が縮小したが,その効果は一時的なものであった.
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