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文献詳細

雑誌文献

臨床外科45巻6号

1990年06月発行

文献概要

一般外科医のための形成外科手技・18

Tissue Expansion法

著者: 梁井皎1

所属機関: 1順天堂大学医学部形成外科

ページ範囲:P.741 - P.747

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はじめに
 tissue expansion法による修復術は,近年,形成外科領域において広く行われている.
 tissue expansion法ではシリコン製のtissue expan-derを皮下に挿入し創を閉鎖し,その後数週間にわたって徐々にexpander内に生理食塩水を充満させて皮膚および皮下組織を伸展し,その伸展された組織を利用して再建の目的を達成するものである.この方法は1970年代後半に初めて報告されたが,当時のexpanderはゴムでできていたために異物反応が強く,またtissue expansionについての理論的裏付けも乏しかったことから,それほど注目を集めなかった.しかし,その後のシリコン製expanderの開発と異物反応および組織反応の少ない製品への改良もあって,現在では臨床的に広く用いられるようになり,またexpansion法について基礎的な研究も進んでいる.皮膚および軟部組織が数ヵ月にわたる圧力によって伸展される事実は,比較的大きな皮膚良性腫瘍における皮膚の伸展,妊婦の腹壁および皮膚の伸展などにみることができる.また,長年にわたって伸展された組織が非可逆性になることは,アフリカ大陸の一部で下口唇部に木の円盤を入れて徐々に口唇部辺縁皮膚を延ばしたり幼少時から首に輪を重ねていって長い首を作り出したりする奇習によっても知ることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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