icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科46巻11号

1991年10月発行

文献概要

特集 術前・術後管理 '91 A.術前評価・準備・処置

月経周期・妊娠と手術

著者: 工藤尚文1 岸本廉夫1 多田克彦1 平野加容子

所属機関: 1岡山大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.32 - P.33

文献購入ページに移動
 ■月経時の手術の問題点■
 月経時には30〜80%の婦人に,症状の軽重はあるが疼痛(下腹痛,腰痛など),血管神経症状(頭痛,めまい,動悸など),精神神経症状(無気力,精神不安定,イライラ感など),消化器症状(悪心,嘔吐,胃痛など)などが発現する.また,血管透過性や脆弱性の亢進に加えて,プロトロンビンの低下や線溶亢進などの血液凝固・線溶系の変化により1,2),手術時の止血に対しては不利な点が多い.特に,子宮・卵巣動静脈を中心とした骨盤内血管の怒張のため,骨盤臓器の手術では明らかに出血量は増加する.
 以上の諸点より,月経時の手術は術中のみならず術後管理の面でも問題が多く,避けるべきであり,原則として性成熟婦人に対する手術は,月経終了後7〜10日以内の卵胞期に行うべきである.これにより,予期せぬ妊娠中の手術も回避できるが,場合により次項で述べる月経時期の人工的変更を行う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?