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文献詳細

雑誌文献

臨床外科46巻11号

1991年10月発行

特集 術前・術後管理 '91

C.特殊病態患者の術前準備

汎発性腹膜炎患者の術前準備

著者: 若林剛1 納賀克彦1

所属機関: 1川崎市立川崎病院外科

ページ範囲:P.68 - P.69

文献概要

 ■問題点の解説■
 汎発性腹膜炎は腹膜全体に炎症の広がった状態で,その原因の多くは消化管穿孔や術後縫合不全などによる消化管内容の腹腔内への貯留である.したがって,早急な外科的治療を行わなければ,敗血症性ショックから多臓器不全(MOF)へと進行し得る重篤な病態である.
 消化管内容による腹膜の刺激では,多核白血球を中心とした炎症性細胞の集積と活性化,特に腹腔マクロファージの活性化により,各種のchemi-cal mediatorが産生され炎症反応が進行する.これらのchemical mediatorには,インターロイキン1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF)をはじめとして,アラキドン酸代謝産物,血小板活性化因子(PAF),活性化酸素,およびエラスターゼなどが含まれる.初期には,これらのchemical mediatorは腹膜局所に作用し,炎症性細胞のさらなる集積と活性化,血管内皮細胞の障害と血管透過性の亢進をもたらし,腹腔内への炎症性浸出液の貯留を引き起こす.そして,細菌由来の毒素あるいは菌体成分が血管内に入り,これらのchemical medi-atorがさらに産生され全身性の炎症反応が進行する.この全身性の炎症反応が敗血症性ショックの本体であり1),さらにmediatorの産生が続けば病態はMOFへと発展する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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