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文献詳細

雑誌文献

臨床外科46巻11号

1991年10月発行

特集 術前・術後管理 '91

H.術後合併症の対策 f.肝・胆・膵・脾術後の合併症

膵液瘻

著者: 山内英生1 柿崎健二1 山田康雄1

所属機関: 1国立仙台病院外科

ページ範囲:P.312 - P.313

文献概要

 ■病態・病因■
 膵液瘻とは非生理的な交通路への膵液の漏出である.腹腔外へ漏出するものは外膵液瘻であるが,仮性嚢胞が消化管に穿破したり,手術により仮性嚢胞消化管吻合術を作成する場合に生ずるものは内膵液瘻と呼ばれる.また,膵性腹水や膵性胸水の形で新たな交通路が形成される場合もある.
 原因としては,佐藤1)によると膵外傷によるものが最も多く,ついで膵切除,外瘻造設後,急性膵炎となっている.しかし,頻度に関しては,それぞれの施設の特徴によると考えられる.表1に国立仙台病院外科における1986年5月〜1991年4月の5年間における外膵液瘻の頻度を示した.膵手術の83例中8例に,ついで脾摘術での57例中2例,計140例中10例(7.1%)に認められた.このうち上部胃癌,膵癌,膵嚢胞などに対して行われた膵体尾部切除術39例中3例に発生している.膵頭十二指腸切除術後の縫合不全と合併して発生したものは3例である.実際には術後のドレーンからやや高アミラーゼ値を示す少量の膵液の排出がある際には,minor leakageによるものかどうか診断困難な場合が稀ではない.このような場合でも厳密な意味では非生理的な膵液の漏出が疑われるものの,膵瘻に含めるかどうかは諸家により異なる.部分切除の2例は膵頭部におけるインスリノーマと悪性膵島腫の2例に周囲組織を含めて切除した際に発生した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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