文献詳細
特集 院内感染—現状と対策
文献概要
院内感染の歴史は病院という医療形態の成立とともに古い.その定義は病院内での微生物汚染に由来するすべての感染症を意味しており,ウイルスから節足動物までも対象となるが,外科ではウイルス性肝炎,MRSAおよび緑膿菌感染症が注目される.前者は血液汚染によるもので,ワクチン投与による効果が期待できるが,後者は原疾患と外科療法の主体である手術侵襲により易感染性の高まった症例が対象であること,体内力テーテル留置や喀痰,膿などの菌源による病室,職員を含む患者の微生物環境汚染が発症要因である.発症患者の治療は化学療法剤耐性株による感染症であるため難しく,環境よりの汚染を防止する予防対策を地道に実行することが基本である.
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