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文献詳細

雑誌文献

臨床外科47巻10号

1992年10月発行

文献概要

特集 形成外科から学び取る

腋臭症の治療

著者: 秦維郎1

所属機関: 1香川医科大学形成外科

ページ範囲:P.1285 - P.1291

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 腋臭症の治療は年々増加する傾向にある.今回,一般外科系の医師のために,腋臭の基本的事項,各種治療法,筆者らの用いている術式,最近のトピックスなどにつき,以下の内容で述べた。
 【基本的事項】臨床的特徴は,①思春期に発現し,臭いは夏に強い,②20歳代にピークがあり,女性に多い,③軟耳垢を合併する,④月経時に増強する,⑤優性遺伝する,⑥高率で腋窩多汗を伴う,⑦アポクリン汗に起因する.組織学的特徴としては,①アポクリン腺数が多く,そのサイズが大きい,②アポクリン腺の機能亢進がある.
 【各種治療法】保存的治療もあるが,根治させるには手術的治療が必須である.手術法として,①汗腺層の掻爬,②汗腺層の吸引除去,③汗腺層の剪除④皮膚と汗腺層の一塊切除,⑤3,4の併用などの報告がある.
 【筆者らの用いている術式】各手術法のうち,汗腺掻爬法は操作が煩雑で効果が不十分なため,また腋窩皮膚を切除する方法は術後に瘢痕拘縮を生じるため問題が残る.そのため,筆者らは横切開剪除法を採用している.本法の利点は瘢痕が目立たないこと,直視下に操作するため効果が確実なことである.
 【最近のトピックス】最近,脂肪吸引法(リポサクション)が腋臭症の治療に応用されている.本法は脂肪吸引に使用する吸引管で汗腺層を吸引除去するもので,今後普及する可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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