文献詳細
臨床報告
悪性リンパ腫の化学療法中にcytomegalovirus直腸潰瘍を合併した1例
著者: 板東隆文1 豊島宏1 八巻隆1 磯山徹1 鈴木憲史2
所属機関: 1日赤医療センター消化器外科 2日赤医療センター血液科
ページ範囲:P.1365 - P.1368
文献概要
Cytomegalovirus(CMV)感染症,すなわちcytomegalic inclusion disease(CID)は,健康人では稀な日和見感染症である.悪性疾患,血液疾患,膠原病,後天性免疫不全症(AIDS)などを合併するか1-4),臓器移植などで免疫抑制剤を投与されている患者では5,6),不顕性感染であったCMVの活性化によりCIDが発症する.CIDは中枢神経系,網膜,耳下腺,肺,腎,副腎,皮膚など全身の臓器でみられるが,最近では消化器CIDが増加している.消化器CIDとしては急性肝炎のほかに,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸,直腸の潰瘍などがある.消化器CIDの多くはAIDSに合併したものであるが1-4,7-9),著者らは,非ホジキン性リンパ腫(NHL)の化学療法中に大量出血を来した直腸潰瘍を経験したので報告する.
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