臨床外科47巻13号

1992年12月発行

特集 今日の甲状腺癌診療

甲状腺癌—最近の話題

著者： 山下共行¹ 小原孝男¹

所属機関： ¹東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター外科

ページ範囲：P.1533 - P.1537

文献概要

　甲状腺癌における最近の研究の動向として，分子生物学的研究，予後因子の解析，新しい診断法，新しい腫瘍の発見につき概説した．分子生物学的研究では，多内分泌腺腫瘍症II型の原因遺伝子の発見，乳頭癌より単離された新しい癌遺伝子，未分化癌における癌抑制遺伝子の変異などがトピックスとして挙げられる．予後因子解析では，Mayo Clinicの報告が先駆けとなり，多変量解析が行われるようになった．新しい診断法に目新しいものは乏しい．新しいタイプの腫瘍として，硝子化索状腺腫，甲状腺内胸腺腫などを紹介した．