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乳房温存療法の意味するもの—厚生省助成「乳がんの乳房温存療法の検討」班2年間の成果
著者: 霞富士雄1 三浦重人2 小山博記3 橋本省三4 梶原哲郎5 福富隆志6 高嶋成光7 久松和史8 羽田良洋9 渡辺騏七郎10 西常博11
所属機関: 1癌研究会付属病院乳腺外科 2愛知県がんセンター乳腺外科 3大阪成人病センター第三外科 4慶応大学医学部放射線科 5東京女子医大第二病院外科 6国立がんセンター外科 7国立病院四国がんセンター外科 8国立病院九州がんセンター乳腺部 9国立呉病院放射線科 10国立金沢病院検査科 11三井記念病院外科
ページ範囲:P.251 - P.257
文献購入ページに移動近年,欧米からの乳房温存療法の報告は数多く,その華々しい成績に接し,温存療法という考え方に全く伝統をもたない日本の乳癌外科医の多くは戸惑い,基盤を失うように感じたり,鼻白むように感じたり,あるいはある種の嫌悪感を抱いたりしているものの,同時に大きな興味をも感じているのが現況である.
確かに,乳房切除の範囲の中では各種のmodifica-tionは進み,縮小化がはかられてきた.これらのmodi-ficationは容認されるとしても,縮小化の行き着く所はつまるところ「乳房温存」である.しかし,乳房切除から乳房温存療法への移行は大きな断層を成していて,簡単に踏み込めるものではない.癌の手術の広範切除という原則に反して,癌に接近して局所切除するlumpectomyと,それに効果の実体がぼんやりしている残存乳房照射は,「乳癌の初回治療は乳房切除」という 言ってみれば鉄則に従って来た日本の乳癌外科医にとっては簡単には受け入れられるものではなかろう.
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