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小児肝移植の術後管理におけるG-CSFの有効性
著者: 石曽根新八1 幕内雅敏1 川崎誠治1 中畑龍俊2 河原崎秀雄3 岩中督3
所属機関: 1信州大学医学部第1外科 2信州大学医学部小児科 3東京大学医学部小児外科
ページ範囲:P.807 - P.813
文献購入ページに移動近年,肝移植の治療成績は適切な免疫抑制療法と感染症対策の励行により飛躍的に向上している.しかし,肝移植の適応となる高度な肝障害をもつ患者では,約30%に脾機能亢進症状を認めており,移植術後に白血球減少症を合併する症例では,副作用として骨髄抑制の認められる免疫抑制剤を十分に使うことができずに,拒絶反応の発生頻度が高くなったり,また感染症の発生も高率に認められた報告がある.このことは肝移植術後管理上注目すべきことである.
白血球減少症に対して腎移植例では摘脾術が行われたこともあるが,摘脾術を受けた症例の長期成績ではpatient and graft survivalの有意な低下があり,肝移植前後での摘脾術の適応が問題となっている.白血球減少に対し,従来から骨髄移植や抗癌剤の副作用による白血球減少症の治療にはrecombinant human Granulocyte-ColonyStimulating Factor(rhG-CSF)が使われ有効性を評価されている.今回,脾機能亢進症を伴う肝不全患者に生体部分肝移植を行い,術後の白血球減少状態にrhG-CSFを使い,拒絶反応の発生および感染症の予防に対する効果について検討した.
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