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食道静脈瘤に対する治療法の選択—硬化療法か,手術療法か?
著者: 杉町圭藏1 太田正之1 上野毅一郎1 橋爪誠1 北野正剛1
所属機関: 1九州大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1219 - P.1225
文献購入ページに移動食道静脈瘤の硬化療法は,Crafoord1)が1939年に初めて報告したが,当時は手術療法が主体で今日のようには広く普及しなかった.ところが,1970年代に入り,静脈瘤出血例に対する硬化療法の止血率が90%以上という良好な成績がいくつかの施設から報告され2,3),硬化療法が急速に脚光をあびるようになった.
現在,わが国で行われている食道静脈瘤に対する主な治療法には,硬化療法,直達手術,選択的シャント手術の3者があり,これら各種治療法の選択については,現在もなお議論の余地のあるところである.そこで本稿では,内視鏡的硬化療法,食道離断術,遠位脾腎静脈シャント手術(いわゆるWarren変法)の3つの治療法について行った,prospective randomized trialの結果に基づき,硬化療法および手術療法の特徴と問題点について言及し,新しい治療法である食道静脈瘤結紮術の最近の知見についても述べてみたい.
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