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特集 Dos & Don'ts外来の小外科 Ⅴ.肛門部
7.慢性化膿性汗腺炎
著者: 衣笠昭1 鈴木和徳1
所属機関: 1松島病院大腸肛門病センター
ページ範囲:P.158 - P.159
文献購入ページに移動 肛門部の汗腺炎は慢性の経過をとることが多く,化膿しては自潰して膿皮症の病像を呈するのでHidradenitis suppurativa chronicaまたはPyodermia fistulans sinificaといわれ,Verneuil病とも称される.原因はアポクリン腺の感染症とされているが,このほかに痔瘻より続発したもの,肛門周囲の毛嚢炎,粉瘤,小膿瘍,毛巣洞,皮様嚢腫,浅い外傷などに起因することもある(図1)1).起炎菌としては,Staphylococcus, Pseudomonas, Enterococcusなどが検出されるが,長期にわたり抗生物質の投与を受けた者のなかには,膿よりMRSAを検出した症例もある(図2).
症状は肛門周囲に膿瘍形成があり,皮下組織に広がり自潰して多数の瘻孔を作り,悪臭のある膿汁を分泌する.急性期には発熱,白血球増加をみるが,慢性期には全身症状は少なく,皮膚の肥厚や色素沈着を認め,次第に範囲は拡大し,殿部・鼠蹊部・大腿部にまで広がる症例もある.治療は侵された皮膚部分を完全に切除することが必要であり,再発・再燃もしばしばみられるので,経過観察を怠らないようにする.痔瘻の併発をつねに念頭に置かなければならない.
症状は肛門周囲に膿瘍形成があり,皮下組織に広がり自潰して多数の瘻孔を作り,悪臭のある膿汁を分泌する.急性期には発熱,白血球増加をみるが,慢性期には全身症状は少なく,皮膚の肥厚や色素沈着を認め,次第に範囲は拡大し,殿部・鼠蹊部・大腿部にまで広がる症例もある.治療は侵された皮膚部分を完全に切除することが必要であり,再発・再燃もしばしばみられるので,経過観察を怠らないようにする.痔瘻の併発をつねに念頭に置かなければならない.
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