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カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・15
胸腔鏡下自然気胸手術(標準術式-2)
著者: 藤野昇三1 森渥視1 小西孝明1 朝倉庄志1 加藤弘文1
所属機関: 1滋賀医科大学第2外科
ページ範囲:P.1361 - P.1366
文献購入ページに移動自然気胸は,呼吸器外科医にとって最も馴染みの深い疾患であり,初めて執刀させてもらった開胸術が自然気胸であったという呼吸器外科医は多い.しかし一方,小さな嚢胞のために開胸術まで行うのは患者に対して申し訳なく感じ,もっと侵襲の少ない方法がないものかと考えた外科医も多いのではないかと思われる.
近年行われるようになってきた胸腔鏡下手術は,この問題に対する1つの回答であるといえる.
胸腔鏡の歴史は,1910年のJacobaeus1)の膀胱鏡による胸腔内の観察に始まるとされるが,自然気胸に対する治療としては,1970年代前半ごろより,胸腔鏡下の嚢胞焼灼術2)や生体接着剤の塗布3)が行われるようになった.その後,著しい展開はみられなかったが,1989年に腹腔鏡下胆嚢摘出術が報告されて以来4,5),光学ビデオシステムや内視鏡下手術器具の進歩により,胸腔鏡下手術も急速に普及しつつある6-9).
本論文では,当科における自然気胸に対する標準的胸腔鏡下手術手技を供覧し,根治性,手術侵襲の軽減,美容面を総合的に考慮した手術適応についての考察を加える.
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