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文献詳細

雑誌文献

臨床外科48巻13号

1993年12月発行

文献概要

特集 スキルス胃癌の診断と治療

スキルス胃癌におけるリンパ節転移の実態

著者: 鈴木力1 田中乙雄1 藍沢喜久雄1 西巻正1 田中陽一1 田中申介1 藪崎裕1 田中典生1 畠山勝義1 武藤輝一1 曽我淳1

所属機関: 1新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1529 - P.1535

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 スキルス胃癌におけるリンパ節転移の実態を,教室のBorrmann 4型胃癌症例を対象に検討した.開腹例におけるリンパ節転移の肉眼判定では,99.3%の症例がN(+)であり,特にN3,N4症例がそれぞれ18.3%,26.4%の高率であった.相対非治癒切除以上の切除例における組織学的転移率は89.2%と高率で,転移部位も1群リンパ節から大動脈周囲リンパ節まで広範囲に及び,平均転移個数も15.7個と多数であった.転移の程度はn2症例49.5%のほか,n3,n4の高度転移例をそれぞれ10.8%,6.3%と多数認めた.絶対非治癒切除例では,n3,n4の高度転移例がさらに高率であった.以上の結果は,低分化の癌が胃壁内をびまん性,浸潤性に発育し,同時に高度のリンパ行性進展をきたすという,スキルス胃癌の進展様式の特質をよく反映するものであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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