特集 スキルス胃癌の診断と治療
スキルス胃癌に対する姑息的切除の意義—生存期間と在宅期間からみた姑息的治療の評価
著者:
笹子三津留1
佐野武1
片井均1
岡島一雄1
丸山圭一1
木下平3
福田治彦2
久須美貴哉2
白尾国昭2
斉藤大三2
近藤仁2
島田安博2
吉田茂昭4
所属機関:
1国立がんセンター中央病院外科
2国立がんセンター中央病院内科
3国立がんセンター東病院外科
4国立がんセンター東病院内科
ページ範囲:P.1557 - P.1561
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スキルス胃癌に対する姑息的切除例の予後を,試験開腹例および内科化学療法例と比較検討した.背景因子に差があり解釈が難しいが,50%生存期間は切除群で228日,非切除例と内科化学療法群はともに171日で,切除群の数値は他の2群との間で有意差を認めた.切除群,非切除群間での差はT3症例ではさらに大きいが,T4例では2群の生存曲線に差はなかった.また,在宅生存期間が3か月未満の症例の比率は,切除群で35%,非切除群で63%,内科化学療法群で80%と.切除群の姑息的治療としての意義は十分にうかがわれた,T3症例では,姑息的切除後にMTX+5—FUなど,外来でできる化学療法もしくは経過観察が現時点での推奨できる治療である.T4症例では,切除しないで外来で化学療法を行うのがよいのか,切除してから化学療法を行うのがよいのか,QOLと生存期間の2つをエンドポイントにした臨床試験が必要である.