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特集 治療的ドレナージ
心嚢ドレナージと開心術
著者: 伴敏彦1
所属機関: 1京都大学医学部心臓血管外科
ページ範囲:P.449 - P.453
文献購入ページに移動 心膜腔(心嚢)内に液貯留を来し,このため心機能が障害される場合(心タンポナーデ),その排液が必要となる.このような処置は緊急に救命的手段として行われなければならない場合がしばしばあり,外科医にとってその習得は必須のものといえる.心タンポナーデのため血行動態がきわめて不良な場合には,まず心膜腔穿刺とそれに引きつづいてガイドワイヤーを用いてのpig tail catheterの心膜腔内留置によるドレナージで症状の改善を図る.ほとんどの場合,この方法のみで治癒は望めず,subxiphoid approachによる心膜切開を通じてのドレナージ,あるいはperitoneal and pericardial window,必要に応じて全身麻酔下での広範な心膜切除を加え,腹腔あるいは胸腔からの貯留液の吸収を図らなければならない.いずれの方法を取るかは,確実性,侵襲の大きさと原疾患の予後を考慮して決定すべきである.
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