文献詳細
特集 治療的ドレナージ
文献概要
急性膵炎の外科的治療は,ドレナージの歴史である.1920年代より1980年代前半までは,発症早期のショックや臓器障害を防止するための膵浸出液のドレナージであり,Lawsonらの膵周囲ドレナージ兼triple-ostomyが広く行われた.本邦では,Tsuchiyaらの膵授動兼膵床ドレナージが行われた.しかし,集中治療学の進歩により,発症早期の病態は手術を行わないでも保存的集中治療により対応できることがわかってきた.したがって,手術の目的はかつての膵浸出液の早期ドレナージではなく,後期合併症としての壊死組織の細菌感染をコントロールすることにある.すなわち,感染巣の徹底したdebridementであり,necrosectomyやopendrainageと呼ばれる術式である.
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