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特集 施設別・消化器癌術後栄養管理の実際
直腸癌に対する低位前方切除術後の栄養管理
著者: 田辺達三1 加藤紘之1 下沢英二1 奥芝俊一1 道家充1
所属機関: 1北海道大学医学部第2外科 2東京大学医学部第2外科 3慶應義塾大学医学部外科 4国立がんセンター中央病院外科 5大垣市民病院外科 6大阪大学医学部第2外科 7大阪医科大学一般・消化器外科 8九州大学医学部第2外科 9鹿児島大学医学部第1外科
ページ範囲:P.607 - P.620
文献購入ページに移動通常の場合の栄養管理
患者が腸閉塞状態にない場合は,経口摂取が十分であり栄養管理が問題となる例は少ない.しかし慢性の出血が存在するときはHb, TP, ALB値などが低下し,術後合併症を惹起しやすいので,術前に補正しておくことが必要である.また,栄養管理の面のみではなく,colon preparationの意味から術前より積極的に経静脈栄養を併用しているが,絶食が短期間ですむ場合には高カロリー輸液を施行していない1).具体的には,手術3日前頃より一般食を禁食とし,カナマイシンなどの非吸収性抗菌剤と低残渣食,またはエンシュアリキッド®などの半消化態栄養剤を経口投与し腸内を浄化する.しかし,狭窄高度で腸閉塞状態になりつつある例では禁忌であり,早期より絶食とし高カロリー輸液にて栄養を補給する(後述).
術後は原則として排ガス,排便を確認したあと(通常は3〜5日後になることが多い)に経口摂取を開始している.上部消化管の術後に比べて摂食量が制限されることは少なく,流動食,3分粥,5分粥,7分粥,全粥,常食と1日ごとに食事内容を増量しているが問題となることはない.静脈栄養のカロリーと水分量は漸減し,7分粥を摂取する頃にIVHカテーテルを抜去している.
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