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文献詳細

雑誌文献

臨床外科48巻6号

1993年06月発行

文献概要

特集 MRSA感染症対策の実際

小児外科におけるMRSA感染症対策

著者: 横山隆1 檜山英三1 竹末芳生2 児玉節2 山東敬弘1 市川徹2 宮本勝也2

所属機関: 1広島大学医学部総合診療部 2広島大学医学部第1外科

ページ範囲:P.759 - P.766

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 小児外科領域におけるMRSA感染症の特徴は,新生児,乳児に多く発生し,新生児期にかなりの症例がすでに病院内環境細菌としてのMRSAの定着(colonization)を受けているために,入院時感染症からMRSAが分離されることが多いこと,重症化する疾患に特徴があり膿胸,皮膚軟部組織感染の敗血症化であることなどである.重症化する背景として,MRSAの薬剤耐性や外毒素よりも,MRSA感染であると認識し適切な治療を開始するまでの期間が問題で,幼弱小児の黄色ブドウ球菌感染症が疑われる場合には,できるだけ早急に起炎菌の検索を行うとともに,MRSAの可能性も考慮した抗菌剤を選択することが重要である.予防対策としては,環境内の細菌検査を行い,MRSAによる環境の汚染がある場合には医療従事者が手指につけて媒介する可能性が高く,医療從事者の認識と行動が最も重要である.また,術後におけるMRSA感染発症には,抗菌剤による常在細菌叢の攪乱が大きな要因であり,術後感染予防の抗菌剤の適正な使用は,小児外科領域では特に重要である.一般的には,小児外科では重症感染発生例は少なく,最も多く認められるのは付着である.しかし,重症化症例は新生児,乳児例であり,このことを考慮してMRSA重症感染の発症時には適切な抗菌剤の選択はもちろんであるが,小児の感染防御能の未熟性を考慮して,オプソニン蛋白の補充にも努めなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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