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臨床報告
卵巣転移大腸癌切除後6年生存の1例
著者: 中野一郎1 船木芳則1 生垣茂1 河原栄2 村上信也3 渡辺洋宇3
所属機関: 1国民健康保険輪島病院外科 2金沢大学医学部第1病理 3金沢大学医学部第1外科
ページ範囲:P.821 - P.824
文献購入ページに移動転移性卵巣腫瘍は,1896年,FriedrichKrukenberg1)がfibrosarcoma ovarii mucocel-lulare carcinomatodesなる組織像をもつ卵巣腫瘍をKrukenberg腫瘍と提唱したのが最初である.1902年,Schlagenhaufe2)は,Krukenberg腫瘍と原発性卵巣腫瘍について,前者がしばしば消化器系よりの二次性転移を示す卵巣腫瘍であると報告した.現在では胃のみなすらず,そのほかの腹腔内外臓器の原発巣から卵巣転移した腫瘍をKrukenberg腫瘍と呼ばれる傾向にある.
著者らは,卵巣転移を合併した大腸同時性重複悪性腫瘍6年生存の1例を経験した.卵巣転移を合併した大腸悪性腫瘍で,5年以上生存の報告はきわめて稀であり,本邦において本症例が8例目の報告である.大腸癌の卵巣転移経路および卵巣同時切除の適応の考察を加えて報告する.
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