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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科48巻8号

1993年08月発行

雑誌目次

特集 疼痛をどうコントロールするか

痛みの発生と生理学的,生化学的な機構

著者: 横田敏勝

ページ範囲:P.979 - P.986

 傷害に対する組織反応は3相に分けられる.第1相では、傷害の直接作用による痛みに続いて,炎症を媒介する活性物質が痛みを増強させる.第2相では,白血球の反応が痛みをもたらす.第3相では,傷害された末梢神経線維の再生に伴う痛みが現われる.痛みを伝える求心性線維はAδおよびC侵害受容線維である.Aδ侵害受容線維の伝達物質はグルタミン酸,C侵害受容線維の伝達物質はグルタミン酸と神経ペプチドである.C侵害受容線維が高頻度で興奮すると,NMDA受容体の反応が加わって,脊髄後角2次ニューロンの反応性が高まる.この状態が持続するとニューロン細胞体のCa2+濃度が高まり,前初期遺伝子の発現が誘導されて,蛋白質の合成が始まる.

疼痛診断のための基礎知識

著者: 北原雅樹 ,   大村昭人

ページ範囲:P.989 - P.997

 臨床医として疼痛の治療にあたる場合に必要なことは,まず「急性疼痛」「慢性疼痛」「癌性疼痛」の違いに対する正確な知識をもつことである.急性疼痛と慢性疼痛は,痛みの発生機序も治療法もしばしば大きく異なる.つぎに必要なことは,解剖学,病理学に基づく痛みの原因の鑑別である.慢性疼痛は明確な病理学的原因をもたないことが多く,最先端の診断的検査法を用いても確定診断は困難である.現病歴,既往歴を中心とした問診と現症から,重要な情報が得られることも多い.疼痛の診断時にはmyofascial painの鑑別を忘れてはならない.myofascial painは慢性疼痛の主原因となり得るし,慢性疼痛患者の多くに2次的にみられ,ときに疼痛の原因の鑑別が困難になる.

急性痛の管理と新しい鎮痛薬の評価

著者: 石埼恵二

ページ範囲:P.999 - P.1007

 急性痛のうち最も頻度の多い術後疼痛の管理について,世界の動向を解説する.いま世界では,急性痛治療機関が病院内に作られている.手術後疼痛は,癌末期疼痛と同様に治療可能な疼痛として位置づけられ,ガイドラインを用いた適切な治療が行われつつある.この結果,合併症の減少や入院期間の短縮など好ましい結果が得られている.手術後疼痛の治療方法として,①ガイドラインを用いたオピオイド性鎮痛薬の十分量筋注投与法,②患者が自らの手で鎮痛薬を投与できるpatient-controlled analgesia法,③硬膜外オピオイド性鎮痛薬注入法,④バルーン型自動注入器を用いた方法がある.これらの方法を,急性痛治療機関はガイドラインを設け,マニュアル化して疼痛治療を行っている.これらの結果,術後疼痛はvisual analogscaleで4.5を2以下とすることができる.鎮痛薬の使用に際しては,どこの部位にどのように作用するかをはっきり認識する必要がある.大きい手術では,オピオイド受容体を完全に占拠する量を使用するよう心掛ける必要がある.麻薬の取扱いの煩わしさのないブプレノルフィンは,長時間作用するので有用であるが,座薬は血中濃度の上昇が緩徐であるので予防投与に限る,ブトルファノール,エプタゾシンは安全域が広いので有用であるが,作用時間が短いので追加投与を十分にする必要がある.シクロオキシゲナーゼ阻害薬である消炎鎮痛薬は,作用が弱いので小手術に限る.

術後疼痛管理の実際—私はこうしている

著者: 佐藤紀 ,   出月康夫

ページ範囲:P.1009 - P.1012

 術後疼痛は,手術後約24時間をピークとする強い体性の痛みである.疼痛の軽減は第1に人道的見地から必要とされるものであるが,さらに管理にあたっては,術後疼痛は生体にとり有害なものであるとの認識が必要である.すなわち,疼痛の存在は呼吸器系の合併症の頻度を増加させ,早期離床を妨げる.現在,疼痛のコントロールにおいては麻薬系の鎮痛薬が多く用いられているが,一般外科手術のあとには鎮痛薬,麻酔薬の持続硬膜外注入が広く用いられるようになってきており,効果をあげている.一方,術後管理においては,通常の術後疼痛以外の異常な痛みの発症がないか注意深く観察を行い,合併症の発生を見逃すことのないように努める必要がある.

術後疼痛管理の実際—私はこうしている

著者: 島津元秀 ,   落合亮一 ,   北島政樹

ページ範囲:P.1013 - P.1018

 術後の疼痛に対しては概ね“undertreated”のことが多い.麻薬系鎮痛薬でも術後の鎮痛に使われる程度の用量では,呼吸抑制やaddictionなどの副作用はあまり問題にならない.鎮痛薬の副作用を熟知したうえで必要十分な疼痛管理を行うことは,術後の病態生理を改善し,回復を早める結果となり,術後管理上も重要である.術後最も一般的に行われる鎮痛法は,麻薬拮抗性鎮痛薬の間欠筋肉内投与であるが,血中濃度や有効量に個人差があり,必要投与量は個々に決定しなければならない.最近では,硬膜外持続投与法がその分節的鎮痛効果,少ない投与量,長い持続時間,少ない副作用などの利点を活かして,広く施行されるようになった.

術後疼痛管理の実際—私はこうしている

著者: 住友伸一

ページ範囲:P.1019 - P.1024

 開胸手術後の疼痛は,他の部位の手術に比べて強いという特色がある.開胸手術後の疼痛は,開胸や閉胸方法,手術手技により軽減が可能な部分が少なくなく,外科医として熟知しておく必要がある.適切な開胸方法の選択,骨性胸郭の温存や修復は,疼痛の軽減のみならず,呼吸機能を保つうえでも重要である.閉胸にあたっては,肋間神経を絞扼しないように注意する.術後疼痛はPAS(postoperative analgesia service)として硬膜外持続注入法を中心に管理されつつあるが,開胸手術中に行い得る方法としてブピバカインの持続注入や凍結麻痺による肋間神経ブロックがある.

癌性疼痛管理の実際—私はこうしている

著者: 平賀一陽

ページ範囲:P.1027 - P.1038

 癌患者の痛みの原因,治療の目標設定,鎮痛薬投与の原則と鎮痛法の選択など,癌性疼痛治療の基本的なことを記述した.特に,経口摂取できない患者についての対策と外来での処方,麻薬処方箋を患者にどう説明するか,および精神面でのフォローについて,症例を呈示しながら,自分が行っている方法と外科医に注意してほしいポイントを強調した.癌性疼痛という言葉は1つであるが,その内容は無限大で,終局的には個別的対応が必要である.投与した鎮痛薬が最大に効果を発揮するよう,常に投与薬剤,投与経路を含めた全人的な痛みの評価を行う必要がある.集積された知識と経験を基本に,優しさと温かさで対応することが癌患者の痛みを和らげる.

癌性疼痛管理の実際—私はこうしている

著者: 水口公信 ,   下山直人

ページ範囲:P.1039 - P.1043

 WHO癌疼痛治療指針が発表されて,広く用いられているが,いまだに痛みに悩む癌患者をみかけることが多い.鎮痛効果が十分に得られない理由は,モルヒネの耽溺性,依存性に対する恐怖感が医療者に強く,そのために適切な投与量が使われていないことと,痛みの評価が十分に行われていないためと考えられる.鎮痛薬は痛みの機序分類からどれを選ぶかを決め,最終的にはモルヒネが有用であるが,早期に副作用を予防して,常に痛みから解放することを目標にする.痛みは,強さ,性質,非言語的表現方法などきめ細かい評価が必要であり,癌患者の身体的,精神的,心理社会的,認知的,行動的,倫理的な立場から痛みのアセスメントを行い,QOLの向上を図るべきである.

外科医と疼痛管理—手術を受けた立場から

著者: 山本貞博

ページ範囲:P.1045 - P.1048

 はじめに
 痛みには,肉体的な疼痛という側面とともに,生体の機構に異常が生じ,これに適切に対応しないと生命に危険が及ぶ可能性があるということに対する精神的な恐怖という側面がある.現今の手術の進歩は,疼痛管理のほか呼吸循環の維持を含めた麻酔学の発展に支えられているのであるが,患者側からみると「手術は痛い」ものとする固定観念があり,その裏には疼痛よりもむしろ恐怖が隠されているといってよい.
 術後の管理にてこずる場合の典型は,患者が医師であるときとされており,なかでも「外科医となると最悪」と評されるのが通例である.いろいろな知識や経験をもっているため,疼痛と恐怖が歪曲され増幅してしまうので,管理上きわめて迷惑な患者になりやすいようである.
 痛みは個体差が著しく,また人は過去を忘れやすいので,10年ほど前の2回の開腹手術体験も昨秋の娘の開腹手術経験も,ずいぶんと偏見に支配されていることは承知している.しかし,いまにしてカルテの記述を追い,また覚え書きなどを参照すると,それなりに「なるほど」と思う点が散見されるので,自験概要とそれを通じてみた患者側の要請について取りまとめた.

カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・12

癒着性イレウスに対する腹腔鏡下手術

著者: 内田雄三 ,   岡敬二

ページ範囲:P.973 - P.977

 はじめに
 婦人科領域では,以前から不妊症の治療の1つとして,腹腔鏡下に卵管周囲の癒着剥離術が行われてきたが,本稿では,術後の腸管の癒着にもとづく癒着性単純性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術の適応,手技の要点,工夫について述べる.

一般外科医のための医療材料カタログ・5

経皮的胆道ドレナージおよび内瘻化カテーテル

著者: 丸山尚嗣 ,   尾崎正彦

ページ範囲:P.1049 - P.1051

 はじめに
 超音波ガイド下胆管穿刺法の導入により,閉塞性黄疸に対する経皮的胆道ドレナージ(以下,PTCD)は以前に比べ容易かつ安全なものとなった.現在わが国では,術前に減黄してから手術を行うことが一般的であり,欧米でもその有用性が評価されつつある1).また,PTCDの内瘻化は病因・病態によっては有効な治療法であり,QOLの向上に大きく寄与している.胆道ドレナージ法の普及と発展に平行して,ドレナージや内瘻化に用いる材料にも種々の工夫がなされ製品化されており,使用するわれわれがどれにするか迷うほど選択肢が多い.
 今回は紙面の都合上,経皮的に用いるものについてのみ述べ,経鼻的あるいは手術時に用いるものは別の機会に譲る.

外科研修医実践講座・3

腹部切開創の縫合閉鎖

著者: 柵瀨信太郎

ページ範囲:P.1053 - P.1057

 腹部切開創の術後合併症の主なものは,創感染,血腫,創哆開,縫合糸肉芽腫ならびに膿瘍,腹壁瘢痕ヘルニアなどである.なかでも創感染は,入院の長期化をもたらすばかりでなく,創哆開,腹壁瘢痕ヘルニアの誘因にもなるので,その予防は大切である.以下,腹部切開創の縫合閉鎖における注意点について述べる.

Medical Essay メスと絵筆とカンバスと・8

旅のアクシデント

著者: 若林利重

ページ範囲:P.1058 - P.1059

 いよいよ明日は日本へ帰るという,1965年7月3日のことである.4か月近いヨーロッパ,アメリカの旅の帰途ハワイに立ち寄って1泊した.ロスアンゼルスを早朝発ったのだがホノルルもまだ朝だった.その日は午前中ホテルの窓から景色を画いたり,ワイキキの浜に出てベンチの老人をスケッチしたりした.午後は車で島のなかを観光し,途中パイナップル畑に寄って新鮮なパイナップルを食べた.ホテルに戻ると,旅の最後の大洗濯をし浴室一杯に紐を張って掛けた.夕食にはまだ間があったので野外ステージでフラダンスを見ながらコカコーラを飲んだ.
 ホテルの大食堂は2階にあった.私は一つのテーブルに1人で坐った.無事に終えた旅を祝うべく1人で乾杯と食事の前にビールの小瓶を1本たのんだ.旅の間ビールは殆ど口にしなかったのでその1口は久しぶりの味だった.ところがコップの半分も飲まないうちに急に嘔気を催した.すぐ椅子を離れ大急ぎでトイレへ向かった.気がついて先ず目に入ってきたのは真白な広い天井であった.そして私のすぐ傍には大理石の大きな柱が立っていた.私は食堂の柱の根元で絨緞のうえに倒れていたことに気付いた.これはいかんと立上がり,よろけながらトイレへ歩いた.倒れていたのはそう長い時間ではなかったようだ.トイレに入るや否や嘔吐した.吐物はコーヒー残渣様よりもっと赤味を帯びている.まさに消化性潰瘍の吐血である.

病院めぐり

国立札幌病院外科/愛媛県立中央病院外科

著者: 佐々木廸郎

ページ範囲:P.1062 - P.1063

 国立札幌病院は1945年12月に誕生したが,前身は1895年に札幌郡豊平町字月寒に創設された陸軍病院であった.誕生当時は敗戦の年で,病院は米軍に接収されていたが,翌年4月には返還され,1952年に現在の土地に移転,新設の鍬が打ち込まれたと歴史は記している.
 以来,厚生省の基幹総合病院の1つとして整備され,さらに北海道地方がんセンター,第3次救命救急センターを併設するなど幾多の発展を遂げ,現在は診療科18,医師数79,ベット数550のがんセンターを主軸とした病院に成長した.そのなかで外科は,現在,厚生省の臨床研修施設はもとより,日本外科学会をはじめとする9つの外科系学会の専門医制度研修施設となり,また胃癌研究会など癌に関する8つの専門研究会の施設会員である.また一方では,北海道のストーマ・ケア研究の中心として患者さんのQOLの向上に関与し,対がん協会と連携して癌検診などの予防医学の一翼も担い,さらに院内には動物実験施設をもち,その基礎研究からは医学博士が誕生することも稀にはある.

綜説—今月の臨床

進行胆嚢癌の外科治療

著者: 嶋田紘

ページ範囲:P.1065 - P.1071

 Ⅰ.はじめに
 画像診断の進歩に伴い胆嚢の早期癌も診断される機会が増加した.しかし,臨床上経験する多くの症例は進行癌である.そして,これらの治療成績は胃,大腸癌のそれに比べて非常に悪い.その理由の1つに,進行胆嚢癌の進展様式の解明と進展様式に応じた標準術式の確立が十分にされていないことが考えられる.
 そこで,自験進行胆嚢癌の進展様式と外科治療成績を分析し,外科治療の問題点について述べてみた.

手術手技

Argon beam coagulatorを用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術

著者: 權雅憲 ,   上辻章二 ,   山田修 ,   井上知久 ,   駒田尚直 ,   上山泰男

ページ範囲:P.1073 - P.1076

 はじめに
 高齢化社会がますます進み,より侵襲の少ない治療手段が要求され,医療経済上の社会環境においても医療費の抑制が求められる状況において,内視鏡下手術がこの要請に即する手段の1つとなっている.
 腹腔鏡下胆嚢摘出術は,1987年,フランスのMouretにより始められ(personal communi-cation),欧米で爆発的に普及し,本邦では1990年に紹介され,全国の施設で導入されている.当初は,強度の胆嚢炎,肝硬変症例,上腹部の手術の既往による強い癒着症例は禁忌とされてきたが,手技や機器の開発に伴い次第に適応が拡大されつつある.また,胆石症の有症状例は程度の差はあるものの何らかの炎症が存在し,術前の予想に反して強固な炎症や癒着により胆嚢床の剥離に難渋し,さらには肝実質からの止血が困難な症例に遭遇する.

臨床研究

大腿動脈閉塞に対するNd:YAG laser assisted balloon angioplastyの臨床成績

著者: 北村薫 ,   前川隆文 ,   小野原俊博 ,   ,   松元輝夫

ページ範囲:P.1077 - P.1080

 はじめに
 従来,動脈硬化性閉塞疾患に対する治療はバイパスによる血行再建術が第一選択であったが,本疾患は高齢者に多くみられるうえに,高血圧,糖尿病,心・肺機能低下などの併存率が高いため,近年,効果的で侵襲が少ない治療法の必要性が高まっている.
 粥状硬化動脈病変に対する治療法としてレーザー光線を応用するという概念は,1980年,Macruzによって初めて報告されている1).その後,Leeら2)が,冠動脈硬化に対して臨床応用して以来,硬化性動脈病変のレーザー焼灼は,動脈再建術と並んで一時広く試みられたが,遠隔成績は必ずしも良好とはいえなかった3-5)

臨床報告

鼠径部腫瘤を主訴とした木村病(軟部好酸球肉芽腫症)の1例

著者: 大澤武 ,   平野誠 ,   斉藤裕 ,   加藤明之 ,   橘川弘勝 ,   増田信二

ページ範囲:P.1081 - P.1084

 はじめに
 木村病は,主に頸部の腫瘤を主訴とし,耳鼻咽喉科や形成外科領域において加療されることが多いが,ときに鼠径部に腫瘤を形成し,外科治療の対象となる.今回われわれは,鼠径部の腫瘤を主訴とした木村病の1症例を経験したので報告する.

肺癌との鑑別が困難であった肺クリプトコッカス症の1例

著者: 林悟 ,   佐竹信祐 ,   西純雄 ,   金田直子 ,   江尻通麿

ページ範囲:P.1085 - P.1088

 はじめに
 肺クリプトコッカス症は,比較的稀な疾患と考えられてきたが,最近その報告例は増加しつつあり,特殊な免疫抑制状態にない健常人においても発症し得ることが,広く知られるようになってきた1,2).本症に特有の臨床所見はなく,また胸部X線写真上も特徴的な所見に乏しいため,術前診断が困難なことも多い.
 最近われわれは,術前に肺癌と診断した原発性肺クリプトコッカス症を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

超音波検査が診断上有用であった回腸腺癌(m癌)による成人腸重積症の1例

著者: 玉置陽司 ,   福永裕充 ,   堀田司 ,   長崎靖彦

ページ範囲:P.1091 - P.1094

 はじめに
 画像診断の進歩により,成人腸重積症の術前診断例の報告が散見されるようになってきた.特に,CTによる術前診断例は本邦でもいくつか報告されている1-3)
 今回,われわれは,超音波検査でも重積部の構造を明確に捉え,さらに内視鏡検査でその成因検索を行い得た回腸腺癌(m癌)による成人腸重積症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

Carbohydrate Antigen 19-9産生空腸癌の1例

著者: 青柳慶史朗 ,   掛川暉夫 ,   孝冨士喜久生 ,   児玉一成 ,   武田仁良 ,   浦本幸彦

ページ範囲:P.1095 - P.1097

 はじめに
 原発性小腸癌は比較的稀な疾患で,十二指腸癌を除くと,本邦では全消化器癌中0.1〜0.3%1)を占めるにすぎない.近年,画像診断などの発達により小腸癌の報告も増加しつつあるが,その腫瘍マーカーについての報告は少ない.
 最近われわれは,血中carbohydrate antigen 19−9(CA 19-9)が高値を呈し,切除標本の免疫組織学的検索でCA 19-9産生を証明しえた空腸癌の1例を経験したので報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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