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特集 疼痛をどうコントロールするか
急性痛の管理と新しい鎮痛薬の評価
著者: 石埼恵二1
所属機関: 1群馬大学医学部麻酔科蘇生科
ページ範囲:P.999 - P.1007
文献購入ページに移動 急性痛のうち最も頻度の多い術後疼痛の管理について,世界の動向を解説する.いま世界では,急性痛治療機関が病院内に作られている.手術後疼痛は,癌末期疼痛と同様に治療可能な疼痛として位置づけられ,ガイドラインを用いた適切な治療が行われつつある.この結果,合併症の減少や入院期間の短縮など好ましい結果が得られている.手術後疼痛の治療方法として,①ガイドラインを用いたオピオイド性鎮痛薬の十分量筋注投与法,②患者が自らの手で鎮痛薬を投与できるpatient-controlled analgesia法,③硬膜外オピオイド性鎮痛薬注入法,④バルーン型自動注入器を用いた方法がある.これらの方法を,急性痛治療機関はガイドラインを設け,マニュアル化して疼痛治療を行っている.これらの結果,術後疼痛はvisual analogscaleで4.5を2以下とすることができる.鎮痛薬の使用に際しては,どこの部位にどのように作用するかをはっきり認識する必要がある.大きい手術では,オピオイド受容体を完全に占拠する量を使用するよう心掛ける必要がある.麻薬の取扱いの煩わしさのないブプレノルフィンは,長時間作用するので有用であるが,座薬は血中濃度の上昇が緩徐であるので予防投与に限る,ブトルファノール,エプタゾシンは安全域が広いので有用であるが,作用時間が短いので追加投与を十分にする必要がある.シクロオキシゲナーゼ阻害薬である消炎鎮痛薬は,作用が弱いので小手術に限る.
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