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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科49巻1号

1994年01月発行

雑誌目次

特集 乳癌診療—今日の話題

家族性乳癌と遺伝要因

著者: 三浦重人

ページ範囲:P.13 - P.19

 乳癌研究会の多施設共同研究により,乳癌家族歴に伴う乳癌の相対危険度は1.52という結果を得た.乳癌の家系内集積の事実は,多くの疫学的研究で証明が得られている.家族性乳癌の特徴として,乳癌の特異的多発をみる臓器特異性,若年発癌,両側性発癌などをあげることができる.家族歴は乳癌の危険因子の1つであるが,他の危険因子とは独立したものと考えられる.乳癌の家族発生の原因について,最近は染色体・遺伝子レベルでの研究が盛んであり,遺伝要因の解明される日も近いことが期待される.

乳癌画像診断の進歩—(1)乳房超音波診断

著者: 植野映

ページ範囲:P.21 - P.26

 乳癌の検査法は機械走査式からリアルタイム式となり,その診断基準も徐々に変遷を遂げている.最近みられた新しい所見は乳腺境界線の途絶所見,浅在筋膜浅層の牽引像,動的検査による弾力性と可動性の評価,腫瘍サイズの測定の方法であろう.また,カラードプラにより乳癌の診断もなされるようになり,さらにその診断は容易となってきている.他方,良悪の診断以外にも,乳癌の温存療法の適応の評価あるいは乳癌の進展範囲の評価にも利用されるようになった.乳癌検診への応用も盛んとなっており,その現状についても言及した.

乳癌画像診断の進歩—(2)マンモグラフィ

著者: 東野英利子 ,   植野映

ページ範囲:P.27 - P.32

 マンモグラフィの最近のトピックスは触知不能乳癌の発見である.それを達成するためには専用の撮影装置,感度の高いフィルム—増感紙,さらに適切な撮影法を行う必要がある.所見の評価は非常に重要で,非対称性の陰影,構築の乱れに関しては触診との,腫瘤像に関しては超音波との併用が望ましい.腫瘤を伴わない石灰化巣に関しては集簇,多数,微細が生検の適応であるが,より詳細なマンモグラフィと組織との対比によりcomedo-carcinomaでは鋳型状,桿状,線状配列,樹枝状などの特徴的な所見を呈するが,cribriform, micropapillary car-cinomaではより小さな点状石灰化をきたす.後者では良性の石灰化との鑑別が難しい.

乳管内視鏡の実践

著者: 岡崎亮 ,   岡崎稔 ,   浅石和昭 ,   平田公一

ページ範囲:P.33 - P.40

 主にsilicafiberscopeを用いた乳管内視鏡検査について概説し,本検査の臨床的意義について述べた.現在,数種の乳管内視鏡が使用されており,目的と症例に応じた選択と手技の工夫を行うことが必要である.乳管内微小病変は各々特徴的な内視鏡所見を示すことから,確定診断のためには,病変の乳管内進展形態に応じた内視鏡下微小検体採取法を行うことが重要である.また,乳管内視鏡検査は①乳管内微小病変の診断的意義のみならず,②Microdo—chectomyや乳頭温存根治術の適応と手技の改良に貢献し,③乳管内乳頭腫に対する内視鏡下LASER照射治療を可能とした点で多大な臨床的意義を有している.

乳房温存療法—その適応と治療成績

著者: 西常博

ページ範囲:P.43 - P.48

 乳房温存療法は,欧米においてはStage I期,II期の早期乳癌のスタンダードの治療法となっているが,日本においてはまだ試験的な治療法の段階にとどまっている.その両者における適応と治療成績を対比させ,相違点を明らかにした.欧米における乳房温存療法の成績から判明していることは,本療法はすべての症例に適応があるのではなく,術前に注意深く症例を検討したうえで選択しなければ,乳房内再発が増加するということである.

胸筋温存手術—その治療成績と問題点

著者: 児玉宏

ページ範囲:P.49 - P.54

 胸筋温存乳房切除術のうち,大胸筋間溝を開排して鎖骨下領域まで郭清する術式は,Halsted手術と同程度のリンパ節郭清が可能で,しかも大胸筋支配神経を容易に温存することができるので,術後の大胸筋萎縮をきたすことはほとんどない.
 本術式1,408例の累積生存率は,従来のHalsted手術中心の全国集計による生存率に比して遜色なく,むしろ優れている.本術式により温存された大胸筋からの再発は1.1%にみられたが,再発巣が大きくならないうちに局麻下に切除すれば,再々発をきたすようなことはない.したがって本術式は,よほどの進行した症例(T4)以外のすべての乳癌を適応とすることができ,乳癌の標準術式ということができる.

定型手術と拡大手術—その適応と治療成績

著者: 冨永健 ,   稲田一雄 ,   戸井雅和 ,   林和雄

ページ範囲:P.55 - P.62

 様々なclinical trialの結果を基盤とし,現在では定型乳切および拡大乳切の施行例は,われわれの施設も含めて激減しており,その適応自体のもつ意義も少なくなっていることも事実であろう.われわれの施設におけるStage IIおよびStage III群では定型乳切,拡大乳切,胸筋温存術の生存率にはほとんど差がなく,さらに詳細に検討した上で,あえてこれらの術式の適応を挙げれば,胸筋浸潤が疑われるものは定型手術の適応であり,また拡大手術の適応はこれといった適応は限定できないものの,胸骨傍リンパ節生検は予後を知る上で有用と考えられた.

乳房再建の役割—乳腺全切除術+即時再建

著者: 山本浩

ページ範囲:P.65 - P.70

 第1回日本乳癌学会(1993年9月)では乳房再建のシンポジウムをおける討議に数多くの施設が関心を寄せ,このapproachを意欲的に推進しようとする方向に始動しつつあることが伺われた.
 乳腺全切除術(乳腺・乳輪保存)後の広背筋皮弁(LDMC)を用いた即時再建術は,安全性が高く,単純化した方法であり,かつ十分な整容効果が発揮され,さらに根治性,機能回復およびqualily of lifeの観点からも最も推奨しうる手法であると考えられる.
 その適応範囲はかなり縮小されるが,慎重な術前診断,特に画像診断および生検による組織診断が強く求められる.対象29例(1982〜1993年)に本法を施行し,1例に乳頭・乳輪の壊死を生じた.また局所再発を認めたstromal sarcomaおよび異時性に発生したmultifocal lesionが各1例経験された.

乳癌ホルモン療法の現況

著者: 池田正 ,   竹島薫 ,   菅重尚 ,   田村光 ,   榎本耕治 ,   北島政樹

ページ範囲:P.71 - P.76

 乳癌に対する内分泌療法の現況を概観した.タモキシフェンに関しては,overviewanalysisにより,①生存率の改善,②長期使用の有用性,③リンパ節転移にかかわらない有効性,などが示された.メドロキシプロゲステロンに関しては,化学療法との併用での有用性,使用方法の改善による血栓症発生頻度の低下などの進歩がみられる.近日中に発売が予定されている新薬として,LH-RH analogueがあり,phase II studyで約30%の有効率が認められている.そのほか,新規抗エストロゲン剤,アロマターゼ阻害剤数種が治験中であり,近い将来使用可能になると思われる.

乳癌に対する標準的化学療法

著者: 元村和由 ,   野口眞三郎 ,   稲治英生 ,   小山博記

ページ範囲:P.77 - P.82

 術後補助療法や進行再発乳癌に対する化学療法として,欧米ではCMF(Cyclophos-phamide, Methotrexate,5-Fluorouracil)療法が標準的なレジメンとなっている.一方わが国では,補助療法として5-FU(5-Fluorouracil)系経口剤とTAM(Tamoxifen)の1〜2年の併用が効果をあげており,また進行再発乳癌に対してはADR(Adriamycin)を含むレジメンを用いる場合が多い.n0乳癌に対する補助療法は再発のリスクが低い症例には無治療か内分泌療法を,リスクの高い症例には化学療法が適当である.新しい化学療法剤としてTaxol, Taxotere, Navelbine, CPT-11などがあり,強い抗腫瘍効果が期待できる.

乳癌に対する自家造血幹細胞移植を併用した大量化学療法の現況

著者: 徳田裕 ,   久下壮一 ,   柳田優子 ,   則久洋子 ,   奥村輝 ,   太田正敏 ,   久保田光博 ,   田島知郎 ,   三富利夫

ページ範囲:P.83 - P.88

 最近,乳癌に対する化学療法において,dose-intensityを高めることの有用性がpro-spectiveに示され,大量の化学療法による治療効果の向上が期待される.そこで,多くの薬剤のmaximum-tolerated doseが,骨髄毒性により規定されているため,自家骨髄移植(ABMT)が導入され,単一薬剤ではstandard doseの2〜20倍まで投与することが可能となった.前治療無効の再発乳癌に対するABMTを併用した大量化学療法の治療成績は,標準的治療に比べて明らかに高いCR rateを示しているが,長期間CRを維持する症例は少ない.そこで,無治療例あるいはsensitive relapse症例を対象にして30%程度のcontinuous compiete remissionが得られるようになった.
 さらに,腋窩リンパ節転移が10個以上の症例を対象に術後補助化学療法として本法を導入し,高い無病生存率を得ており,現在,臨床第Ⅲ相試験がすすめられている.最近では,末梢血幹細胞移植(PBSCT)が利用されるようになり,好中球および血小板の回復が促進され,本法をさらに安全に行うことが可能となった。しかも,骨髄に比して腫瘍細胞の混入が少ないPBSCは,乳癌に対する本療法において使用する自家造血幹細胞として注目すべきものと考えられる.

局所進行乳癌・炎症性乳癌の治療

著者: 福田護 ,   有村俊寛 ,   大塚恒博

ページ範囲:P.89 - P.95

 局所進行乳癌とは,Ⅲ bと局所進展で病期IVと診断された症例であるとして,局所進行乳癌と遠隔転移陰性の炎症性乳癌の治療法を検討した.局所進行乳癌の予後はnやERによって差があり,nの程度が進むほどER陽性と陰性の予後に差が開くことより,n,ERによって治療方針を決めるべきである.現在施行されている術前療法が,予後の改善につながっていないことより,今後,予後に有効な術前全身療法が必要である.局所治療は定乳切かそれ以下の手術に,必要ならば放射線や動注を加えるのがよいと考える.術後全身療法の健存率や生存率に対する有効性が証明できず,今後,有効な集学的治療を確立することが重要である.

乳癌の新しい予後因子

著者: 野口眞三郎 ,   元村和由 ,   稲治英生 ,   小山博記

ページ範囲:P.97 - P.101

 乳癌の予後因子として現在までに多数のものが報告されている.本編では,それらの中で多くの研究がなされ,かつ重要と思われるものをいくつか取り上げ,それらの予後因子としての現在の評価について概説した.残念ながら,予後因子の研究の多くはpreliminaryで,かつ再現性に乏しいものが多い.今後はMcGuireら(JNCI 83:154-155,1990)の提唱するguidelineに従って予後因子の研究がなされるよう期待する.

カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・17

胸腔鏡下単純肺葉切除術

著者: 山口明 ,   篠永真弓

ページ範囲:P.5 - P.12

 はじめに
 1992年4月にendoscopic stapler(Endo-GIA)が本邦でも発売され,胸腔鏡下治療は,Single-viewing, pre-Endo-GIA thoracoscopyの時代からVideo-post-Endo-GIA thoracoscopyの時代へと転換した.1992年から1993年にわたる1年間はあらゆる胸腔鏡下外科手術が試みられた時期で,肺に関するmajor surgeryでは肺葉切除,さらに肺全摘除まで行われ,現時点で可能と思われる術式はほぼ出尽くした感がある.しかし,肺全摘除を要するような例では肺門リンパ節の処置も面倒なことが多く,太い肺動脈の剥離操作を要するので出血の危険性も高いため,胸腔鏡下手術を積極的に行うべきか,その適応には慎重さを要する.
 肺疾患の主対象である肺癌に対し,欧米では単純肺葉切除術が行われているが,本邦ではリンパ節郭清の追加が不可欠とされている.したがって,肺癌に対する手術は「肺葉切除術+縦隔リンパ節郭清術」が胸腔鏡下手術のおそらく実用的な最終的術式ではないかと思われる.われわれは,すでに肺癌に対し「胸腔鏡下肺葉切除術+胸腔鏡下縦隔リンパ節郭清術」を施行しているが,後者の胸腔鏡下縦隔リンパ節郭清術は議論すべき多くの問題を含んでいるので別の機会に述べることにし,今回は胸腔鏡下単純肺葉切除術について,手術手技を中心に経験を報告する.

一般外科医のための医療材料カタログ・10

胃・腸管用チューブ

著者: 大島郁也 ,   尾崎正彦

ページ範囲:P.102 - P.103

 はじめに
 食道,胃,腸管に挿入するチューブには,目的として注入と排液の2つがあり,これによってまったく形状が異なる.注入に用いるものとしては人工食道チューブと栄養チューブがあり,排液に用いるものとしては胃十二指腸用のチューブ(short tube)とイレウスチューブ(long tube)がある.今回は,われわれが日常使用しているこれらのチューブの種類と使用法について述べる.

病院めぐり

富士吉田市立病院外科/福井赤十字病院外科

著者: 浅海秀一郎

ページ範囲:P.104 - P.105

 当院は,富士山麓にある山梨県,富士五湖地域の高原の町,富士吉田市にある地域基幹病院です.地域住民の対象者は約10万人ですが,富士山と富士五湖を訪れる観光客(年間1,500万人)も医療対象としています.観光と古くからある織物が市の主な産業でしたが,10数年前より精密器械やロボット機器工場などが誘致されるようになりました.
 山梨県は,歴史的には万葉の昔より駿馬の産地であり,その名残の地名が多くありますが,一般的には江戸時代の甲府勤番のイメージが強いかもしれません.県は甲府を中心とする国中と,県東部富士五湖地域の郡内に分けられ,郡内で最も人口の多いのが富士吉田市です.

外科研修医実践講座・7

小外科をめぐる工夫と研修

著者: 鈴木篤

ページ範囲:P.109 - P.113

 外科初期研修は,まずmajor surgeryの術前・術後管理を中心に展開され,外科外来や小外科手技は,大学病院や基幹研修施設より関連の一般病院で経験を積むことが多い.今回のシリーズに私どもが加わった意味の1つに,一般病院の外科外来で多く扱う手技も,このシリーズに反映させる狙いがあったといえよう.
 小外科手技は,数多くの経験をもつ指導医や基本手技書を通して研修医に伝えられ,その原則はほほ確立しており,基本的に大きな変化はない.しかし,これらの手技も,近年,様々な工夫がなされてきている.その背景には,①生活や労働の継続のなかでの治療,②美容的な要求,③より苦痛を伴わない治療法などの患者サイドの要望が反映している.一方で,①創傷治癒学の進歩,②形成外科的手法の進歩,③各種医療材料の開発なども,小外科領域に影響を与えている.様々な工夫の評価は,多数の症例での経過観察の検証を経て初めて一般的に評価されるが,最近の報告や自らの実践から,いくつかの工夫と研修医の心得について述べてみたい.

鴨川便り・1

メディカル・ディレクター

著者: 牧野永城

ページ範囲:P.114 - P.115

 鴨川便りという題は編集部のヒントだったが,そうなるとまず鴨川の説明から入らねばなるまい.実は私は今,千葉県房総半島の小さな町,鴨川にある亀田総合病院というところで仕事をしているのである.わずか人口3万あまりの海辺の小さな町なのだが,病院は許可病床760という大きなものである.医師150人を含め,1,400人の職員を抱え,年間180例近い開心術や150例程の開頭術,その他ほとんどあらゆる種類の3次医療が行われ,房総全域の患者はもとより遠く東京の患者まで集めているという,鄙にはまったく珍しい病院なのである.外房で太平洋の白波砕ける浜辺の小さな町にどうしてこんな病院がと思わず捻る.病棟の窓からも,私のオフィスの窓からも一望に広がるのは実に見事な太平洋の海原である.
 すでに定年を大分過ぎた齢になる.現職で激職の渦中にあった生活から,時間が完全に自分の自由になったとき,いろいろな束縛から解放された喜びは格別であった.食べ物の味まで変わったのは,ゆっくり味わう余裕ができたためであろう.平凡なものが実にうまいのである.そしてありきたりの食べ物がうまいことに幸せさえ感ずる.早朝に訪れてくるさまざまな野鳥の声,朝夕一斉に聞こえるひぐらしの合唱,そして日々その姿を変えて行く庭や前の山の一木一草,梢を渉る清涼な空気,踏みしめる落ち葉の感触など,感動の源は無限にあった.

臨床報告

術前化学療法の治療経過をコンタクトサーモグラフイでfollow-upした炎症性乳癌の1例

著者: 栗原照昌 ,   東靖宏 ,   末益公人 ,   長沢雅裕

ページ範囲:P.117 - P.120

 はじめに
 乳腺疾患の補助診断法の1つであるコンタクトサーモグラフィは,非侵襲性で手技も容易なことから,最近普及しつつある.サーモグラフィは腫瘍の代謝や生理機能を表す機能診断法で,マンモグラフィや超音波検査などの形態診断法にはない利点を有しており,今後の臨床応用が期待されている.
 局所進行乳癌や炎症性乳癌に対しては,局所寛解を目的とした術前化学療法が一般に行われており,局所治療効果の判定は主に腫瘤の縮小率を指標としている1).われわれは,コンタクトサーモグラフィを併用することにより,腫瘍の縮小率のみでなく,腫瘍温度の変化も加味した効果判定法の有用性を報告してきた2)

大網原発悪性腹膜中皮腫の1例

著者: 中野秀貴 ,   及能健一 ,   赤羽弘充 ,   渡辺健一 ,   澤田浩美 ,   北河徳彦 ,   三澤一仁

ページ範囲:P.121 - P.124

 はじめに
 悪性中皮腫は中胚葉由来の漿膜被覆細胞を起源とし,胸膜,腹膜,心膜,精巣鞘膜に発生するまれな腫瘍である.
 腹膜中皮腫は,臨床所見に乏しく,術前診断が困難で,予後不良な疾患とされている.

結腸癌による十二指腸結腸瘻の1例

著者: 稲葉行男 ,   千葉昌和 ,   渡部修一 ,   工藤邦夫 ,   林健一 ,   大塚聡

ページ範囲:P.125 - P.128

 はじめに
 結腸癌による十二指腸結腸瘻の報告は少なく,この病態は高度に進行した浸潤癌であるため患者の全身状態は不良なことが多く,術式の選択など多くの問題を含んでいる.われわれは,結腸肝彎曲部原発の結腸癌が十二指腸下行脚へ浸潤し,十二指腸結腸瘻を形成した1例を経験したので報告する.

血清CA 19-9が異常高値を示した胆石症の1例

著者: 加藤雅俊 ,   牧野剛緒 ,   黒木建 ,   野口伸一 ,   松田祥一 ,   瀬戸口敏明

ページ範囲:P.129 - P.131

 はじめに
 血清CA 19-9やCEAは,消化器系悪性腫瘍の診断的価値が評価され,特にCA 19-9は膵胆道系悪性腫瘍の腫瘍マーカーとして注目され広く普及してきた.しかし,悪性疾患だけでなく,良性疾患においても時に高値を示すことがある2,6).特に黄疸や炎症所見を認める胆石症において,CA 19-9が高値を示すことが多い.
 われわれは最近,血清CA 19-9が異常高値を示した胆嚢・総胆管結石症を経験したので報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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