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文献詳細

雑誌文献

臨床外科49巻1号

1994年01月発行

文献概要

特集 乳癌診療—今日の話題

乳癌に対する自家造血幹細胞移植を併用した大量化学療法の現況

著者: 徳田裕1 久下壮一1 柳田優子1 則久洋子1 奥村輝1 太田正敏1 久保田光博1 田島知郎1 三富利夫1

所属機関: 1東海大学医学部外科

ページ範囲:P.83 - P.88

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 最近,乳癌に対する化学療法において,dose-intensityを高めることの有用性がpro-spectiveに示され,大量の化学療法による治療効果の向上が期待される.そこで,多くの薬剤のmaximum-tolerated doseが,骨髄毒性により規定されているため,自家骨髄移植(ABMT)が導入され,単一薬剤ではstandard doseの2〜20倍まで投与することが可能となった.前治療無効の再発乳癌に対するABMTを併用した大量化学療法の治療成績は,標準的治療に比べて明らかに高いCR rateを示しているが,長期間CRを維持する症例は少ない.そこで,無治療例あるいはsensitive relapse症例を対象にして30%程度のcontinuous compiete remissionが得られるようになった.
 さらに,腋窩リンパ節転移が10個以上の症例を対象に術後補助化学療法として本法を導入し,高い無病生存率を得ており,現在,臨床第Ⅲ相試験がすすめられている.最近では,末梢血幹細胞移植(PBSCT)が利用されるようになり,好中球および血小板の回復が促進され,本法をさらに安全に行うことが可能となった。しかも,骨髄に比して腫瘍細胞の混入が少ないPBSCは,乳癌に対する本療法において使用する自家造血幹細胞として注目すべきものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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